もはや共働き世帯がスタンダード。男女間の賃金格差を容認する理由はない

 現状、女性の過半数と高齢者の約9割が非正規社員(契約社員、業務委託、パートタイム、派遣)であることから、「同一労働同一賃金」の問題は女性活躍推進と密接な関係にあることは過去にもお話ししました。

 政府は2020年までに「女性管理職比率を30%に引き上げる」と目標を掲げているわけですが、女性の管理職比率が先進国に比べても低く、しかも1割にすぎないという現状は組織的な「女性差別」の結果である疑いが大きいことは否めません。

 例えば、

・同期入社の男性社員に比べて、女性社員の昇給スピードが遅いのはなぜか

・そこに、結婚・出産によって女性は退社する可能性が高いからという理由により、男性と同じキャリアパスから排除するという「統計的差別」はないか

・生涯年収を左右する職種配置やキャリア機会は、男女に均等に与えられているか

 こうした問いかけに対し、具体的な人事評価等で「差別はない」と企業が立証する責任を果たさなくてもよいとすれば、女性の管理職比率30%達成など絶望的です。

 確かにこれまで女性の保護という観点からかつて女性の職種が限定されていたことや、こうした女性保護がかえって女性の職場を限定し、事実上の職種格差を生んできた事実を踏まえ、男女雇用機会均等法により、こうした条例が禁止撤廃されてきました。

 また、このような男女間の格差は女性に対する偏見ではなく、高度成長期に企業が男性社員に企業内訓練という名の多大な訓練を投資した。その稼働率を高めるために男性が無限定の働き方ができるよう、専業主婦による内助の功をセットとした家族単位の分業制の名残であったことは、これまで述べてきた通りです。

 しかし、女性の高学歴化が進み、もはや共働き世帯がスタンダードな時代にあって、家庭内分業という暗黙の前提で容認されてきた、年齢とともに高まる男女間の賃金格差の問題をこれまでと同様に容認してよいという理由は見当たりません。このポイントはもっと深く踏み込んで議論されるべきでしょう。

 また政府主導の男女共同参画においては現状、育児休業の期間の延長や、その後の短時間勤務の拡充などの対策が取られていますが、これらはどれほど効果があるのか。職場に復帰した矢先から子どもが急に熱を出したと呼び出されるなど、問題は往々にして育児休暇明けに起こるわけです。また育児休業の取得率が8割まで上がったといっても、第一子出産直後に辞めてしまう女性がまだ6割もいる。立派な制度があっても仕事を継続することが難しいと断念していることをどう考えるのか。

   これまでの対策のほとんどが「女性を男性の働き方に合わせる」ための設計になっていることが問題ではないのか。だから無理が生じているのではないか。

「対策のほとんどが『女性が男性の働き方に合わせる』ための設計になっていることが問題ではないのか」(八代尚宏先生)<br/>(画像はイメージです)
「対策のほとんどが『女性が男性の働き方に合わせる』ための設計になっていることが問題ではないのか」(八代尚宏先生)
(画像はイメージです)