初詣はお参りだけじゃもったいない! 神社やお寺の歴史を知れば面白い

 お正月といえば初詣に行くご家庭も多いでしょう。初詣は、神社で年始の願掛けをしておしまい、というご家庭がほとんどかもしれませんが、それだけではもったいないのです。神社やお寺というのは、その土地の歴史を語るもの。その土地の時代背景を知って訪れるのと、何も知らずに訪れるのでは大きく意味が変わってきます。

 「中学受験でもお寺や神社に関する問題は頻出しています。中でもよく登場するのが、伊勢神宮、出雲大社、靖国神社です。伊勢神宮や出雲大社は、いつの時代に誰が建てたかという知識を問う問題から始まり、その時代にどんなことが起きて、人々の暮らしはどうだったかなど幅広く問われます。靖国神社は時事問題で扱われることが多いです」

 「こうした知識を知ったうえで訪れてみると、『あ、この像が「因幡の白うさぎ」で有名な大国主大神だな。絵本で見たのとちょっと印象が違うな』など自分なりの感想を持ちます。それが直接入試につながるわけではありませんが、ただ訪れるよりも、何かしらの知識を持って訪れたほうが数倍楽しく、鮮やかな記憶として残ります。また、そこから歴史に興味を持つこともあるのです」

開成中の「東京問題」 意外と面白い東京散策

 冬休みのような長期休みには、どこか特別な場所に連れていかなければ、と思う親御さんも少なくありません。もちろん、帰省や旅行で新幹線や飛行機に乗って遠出をするのは、その地方の歴史や暮らしを知るとてもいい機会になります。でも、遠くに行かなければ、それらの体験ができないわけではありません。

 「東京の街だってとても面白いんですよ」と馬屋原先生。

 「護国寺、九段下、桜田門、国会議事堂……。普段、皆さんが仕事で使っている駅で下車して、お子さんと一緒に歩いてみてはいかがでしょう? これらの地名にも、日本の歴史や政治、文化が関わっています。また、東京の街を歩いてみると、川が多いことにも気づきます。日本橋川や神田川のクルージングなどに参加すると、東京という街の別の一面が見えてくるかもしれませんね。だいぶ寒いですが冬もやっています」

 「御三家の一つである開成中学の社会入試には、『東京問題』と呼ばれるご当地問題が出題される年があります。例えば、上野公園や神田明神について聞かれる問題などがありました。こうした問題をなぜ出すのでしょう? 優秀な子たちが受けるから、塾で習う内容だけでは点数の差がつきにくいから? いいえ、そうではありません。開成中の社会入試には、塾や学校で習った知識だけではなく、身近な街や世の中の色々なことに興味・関心を持ってほしいという思いが込められているのです。そして、それは社会という教科の在り方そのものを表しているのです」

(取材・文/越南小町、イメージ画像/iStock)