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中学受験は学力とメンタルが五分五分の世界

安浪京子先生/生理、緊張、腹痛、鼻血……。予測不能な事態にどう対応すればいい? 親の過度なプレッシャーは、子どもの実力発揮を妨げる

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いよいよ受験生は本番直前期を迎えています。受験準備が始まった4年生のころは、まだ遥か先のことと、どこか他人事のように感じていた人も多いと思いますが、直前期になると「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と気持ちが焦りますよね。

「でも、この時期に一番大切なのは、子どもの健康管理とメンタルケアです」。そう話すのは、中学受験専門プロ家庭教師の安浪京子先生。安浪先生によると、「中学受験はメンタルが5割。本番で今ある力を最大限に発揮するには、メンタルコントロールが非常に重要」と言います。

では、親はどのように見守っていけばよいのでしょうか? 詳しく聞いてみました。

当日まさかの初潮! 動揺せずに「おめでとう」と喜んであげて

安浪京子先生
安浪京子先生

 学校によっては既にインフルエンザの流行が始まっているようです。今年は例年に比べてワクチンが手に入りにくく、受験生の家庭は心配されているかもしれません。入試当日、体調を万全にしておくためには、外から帰ったらうがい・手洗いはもちろん、外出時はマスクをするなど予防が大切。おそらくその辺りは、皆さんもやっていることと思います。

 ところが、体調面で予想だにしなかった展開に戸惑うケースもあるでしょう。例えば、女の子の生理です。

 安浪先生はこう話します。

 「今の時代は、初潮が始まるのも早く、小学4・5年生で初潮を迎える子は少なくありません。既に生理が始まっている子は、ある程度の予測はできますが、中には入試当日に初潮を迎える子もいるでしょう

 「緊張で初潮が始まってしまうと言われることもありますが、その事の真偽は分かりません。ただ小学6年生の2月というのは、女の子の成長を見たとき、初潮がいつ来てもおかしくない時期であることを忘れてはいけません」

 「生理のためにお腹が痛くなったり、体調が悪くなったりして、入試当日に本領発揮できなかった子は、私の教え子の中にもいました。そこで、何か対策を取れないかと友人の産婦人科医・宋美玄先生に聞いてみたことがあります。宋先生によると、ピルで月経の時期を調整をしたり、注射でコントロールをしたりすることも可能なので、婦人科で相談するのをお勧めしています、とのことです」

 「生理の症状で、子どもが最もつらいのは、お腹が痛くなることでしょう。だから、その痛みを和らげるための痛み止め薬を、あらかじめ産婦人科でもらっておくといい、とおっしゃっていました。もちろん市販薬でも大丈夫だそうです。こうした薬はいざというときにあると安心です。実際にそれを使うか使わないかは別として、『生理が来たって大丈夫!』というおまじないのようなものがあるといいと思います」

 では、まだ初潮が来ていない子は?

 「入試当日に限らず、6年生になったらいつ初潮になっても困らないように、ナプキンと痛み止めの薬を持たせておいたほうがよいですよね。入試当日に、予想外のことが起きて動揺してしまうと、やはり試験にも影響があります。意外と見落としがちなのが、親が『よりによって!』などと動揺している様子が子どもに与える影響です。親が同様してしまうと、子どもは『大変な事態になってしまったんだ』とさらにショックを受けてしまいます」

 「受験当日に初潮が始まったとしても、それはたまたま。それ以前から大人になる準備が始まっていたのだと思って、ぜひ笑顔で『おめでとう!』という言葉を掛けてあげてください。受験当日に初潮が始まったことは、予想外のハプニングで、その結果、体調が悪くなれば本人にとってはマイナスな出来事であるとしか捉えられないかもしれません。でも、女の子が初潮を迎えることは、本来ならとても喜ばしいことであることを伝えてあげてほしいと思います。『うわー、入試本番に生理が来たなんて縁起がいい!』『しかも、ただの痛み止めじゃなくて、ちゃんと産婦人科で効き目抜群とお墨付きをもらった薬だよ』と言ってあげられるといいですね。そうやって肯定をし、暗示までかけてあげると、子どもの気持ちも落ち着きます」

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