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中学受験は学力とメンタルが五分五分の世界

安浪京子先生/生理、緊張、腹痛、鼻血……。予測不能な事態にどう対応すればいい? 親の過度なプレッシャーは、子どもの実力発揮を妨げる


緊張対策にはルーティンを 100mダッシュが効果的な理由とは?

 そのほかにも男女を問わず、当日、思いもよらなかった事態になってしまう可能性は誰にでもあります。安浪先生はこう話します。

 「模試では上位をキープし、塾からも『間違いなく合格する』と太鼓判を押されているような子でも、志望校に不合格になることはあります。単に学力が及ばなかったのであれば、『入試まで間に合わなかった……』とある意味納得もできますが、それまで『絶対に大丈夫』と思っていたのに、結果が出せなかったとなれば、親も子どももとてもショックを受けることでしょう。でも、こういう事態が起こりうるのが、中学受験なのです。なぜなら、中学受験はまだ情緒の安定していない、小学生が挑む受験だからです」

 「長年、多くの中学受験家庭に関わってきて思うのは、中学受験は『学力』と『メンタル』が五分五分の世界であるということ。高校受験や大学受験であれば、受験生にはそれなりの意志と精神力が備わってきます。しかし、中学受験はまだわずか11歳か12歳の子どもです。口では生意気なことを言っても、精神的にはまだまだ子ども。これまで、塾や親御さんの指示やサポートを受けながら学力は身に付いたと思います。でも、メンタル面を考えたとき、小学生の子どもはそれを鍛える機会が圧倒的に少ない。経験が少ない中、人生初の大きな勝負に出るわけですから、心が揺れたり、緊張してしまったりするのは当然です」

 「入試当日は、ほとんどの子が緊張します。中には極度の緊張で、お腹が痛くなったり、鼻血を出してしまったりする子もいます。試験中、急にお腹が痛くなったり、鼻血が出たりすると、それだけで子どもはパニックになります。中高生なら、『お腹が痛いのでトイレに行ってもいいですか?』『鼻血が出てしまったのでティッシュをいただけますか?』など、自分で対処することができるかもしれませんが、私の友人が大学入試のとき、本番中に鼻血が出て動揺し、問題に集中できなかったと話していました。小学生ならばなおさら、ですよね」

 「もちろん、体調が悪いことに試験官が気づけば、きちんと対応をしてくれます。生理と同様に、不慮の鼻血や腹痛用にティッシュや薬を持たせ、使い方まで指南しておけば安心です。でも、一番の理想は、そこまで緊張をしないように心を落ち着かせてあげることです」

 では、どうしたら緊張を和らげることができるのでしょうか?

 「まったく緊張しない子というのは、ほとんどいません。真剣勝負ですから、適度な緊張はあっていいと思います。でも、中には緊張のあまりに心臓がドキドキしてしまったり、手に汗びっしょりで鉛筆が握れない状態になってしまう子もいます。そうなると、本来持っている力を出し切ることが難しくなってしまいます」

 「ズバリ、緊張をなくす薬というものはありません。でも、ちょっとした暗示かけで緊張を抑えることはできます。私が教え子たちに奨めているのが、試験当日、朝の100m全力疾走です。100m全力で走ると、心拍数がものすごく上がりますよね。でも、しばらくすると心拍数が下がり、本番で緊張しても、心拍数が朝以上に上がることはありません。それを体で覚えてもらい、『どんなに緊張しても、100m全力疾走以上のドキドキになることはないからね。ドキドキしても、少し経てば落ち着くからね』と言ってあげると、『そうか、どんなにドキドキしても、少し経てば落ち着くんだな』と納得します。これは意外と効果がありますよ」

 「とはいえ、それまで運動不足入試当日の朝にいきなり100m全力疾走をして、怪我でもしたら大変です。いきなりやるのではなく、直前期は毎日走ってルーティン化しておくといいですね。100mは直線コースでなくても大丈夫。例えば、家の周りを何周か走ればいいのです。そもそも受験生は勉強ばかりして、身体を動かさなさ過ぎです。脳を活性化させるには、体を動かすことが大事。無理にたくさん運動をしろとは言いませんが、毎日必ず体を動かす時間を作っておくことも大切です」

 「『100m全力疾走法』は私のアイデアの一つで、誰にでも効果があるわけではないと思います。やり方は何でもいいと思いますが、『こうしておけば、僕は緊張しない』というルーティンや暗示のようなものを持っておくといいですね」

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