子どもの状態を見極めて、効果の高い対策を

【仕上がりつつある場合】

 問題の中身を分析し、合格者の8割が取れている問題は、確実に点が取れるようにしておきます。正解率の高い問題がどれか分からない場合は、塾の先生に聞いてみましょう。中学受験では満点で合格をする子はほとんどいません。この時期になったら、必ず取るべき問題と捨ててもいい問題を見極めることが大事です。

【仕上がっていない場合】

 この場合、2つのパターンに分かれます。一つは③「頑張れば届く場合」、もう一つは④「頑張っても届かない場合」です。目安としては、これまでの合否判定模試で、合格可能性が40%以上出ている場合は③、20%と出ている場合は④になります。

 ③の場合は、合格できる可能性はまだ十分にあります。ただし、①と同じように勉強をしてもダメです。より徹底した頻出分野対策が必要になります。“赤本”と呼ばれている過去問題集(「声の教育社」より)の中には、各教科においてどういうタイプの問題が多く出るかという分析や解説が書かれています。その頻出分野を攻略できるかどうかが合否の鍵を握ると言っても過言ではありません。

 そう聞くと、「うちの子は割合ができないから、割合をなんとかさせなきゃ!」と市販の問題集を買いあさる親御さんがいます。しかし、今のこの時期に、新しい問題集に手を出すことはおすすめしません。なぜなら、この時期はやるべきことが多く、新しい問題集を買ってはみたけれど、どうしよう、なかなか終わらない!と気持ちが焦るからです。よほどの難関校でない限り、塾のテキストの中からピックアップすれば十分補えます。苦手分野のノートを1冊用意し、1ページに1題の問題を貼り、そこに解答と解法を記しておくと、知識が定着しやすくなります。私はそれを「振り返りノート」と呼んでいますが、直前期の学習におすすめです。

 ④の場合は、現時点では厳しい状況であり、最難関校、難関校の場合は本来であれば再考が必要です。一方、中堅校、標準校の場合、受験する余地はあります。

 第一志望が最難関校、難関校の場合、合格可能性20%という状況は、正直厳しい戦いになることは変わりませんが、ここで諦めさせると、子どもの受験に対するモチベーションが下がってしまう危険性があるので、決断はもう少し待ちましょう。第一志望ばかりに心がとらわれてしまうと、合格が取れるはずの第二志望、第三志望の学校の勉強ができなくなり、総崩れとなる恐れがあるので、第二志望校、第三志望校の過去問対策をしっかりしておくことをお勧めします。頻出問題を洗い出し、必ず取るべき問題と捨てる問題を見極めることが大事です。

 中堅校と標準校に関しては、今はできなくても、典型的な一行問題で点が取れるようになれば、合格の可能性は十分にあります。中堅校・標準校の合格可能性が20%の子は、根本的に基礎が理解できていない子か、覚えてもすぐに忘れてしまう子。夏に学習したことを忘れてしまっているだけなのです。あまり言い方がよくありませんが、これらの学校レベルの入試問題は、パターンを覚えてしまえばだいたい解けてしまうもの。今から2カ月の間に徹底的に詰め込めば、得点を上げることができます。ですから、ここは苦しくても頑張るしかない。ここで頑張れば、合格最低点は取れるようになります。

 中堅校に関しては、とにかく一行題をしっかり取るようにしましょう。そのためには、苦手単元をあぶり出しておくことが大切です(のちの標準校受験に関する解説で詳しく述べます)。また、大問の頻出分野を把握し、苦手な分野があれば「振り返りノート」を作りましょう。本人に注意点やポイントを自分の言葉でしっかり書かせ、見直しができるようにすることが大切です。

 標準校は入試の難易度が易しいため、塾のテキストでは難し過ぎるという場合もあります。そのせいで自信をなくさせてしまうのではなく、受験校の入試に合わせた勉強をすることが大事です。受験校の入試レベルが、塾のテキストに合わない場合は、市販の問題集をやらせてみましょう。市販の教材でお薦めしているのが『ベストチェック』(日能研ブックス)です。巻頭に弱点診断テストがついているので(全29ページ)、それをやらせて現状を把握します。これは冬期講習が始まる12月25日をめどに終わらせるようにし、冬期講習中は塾や家庭であぶり出された弱点分野を補強しましょう。