模試の結果が返ってくるたび、気になるわが子の偏差値。「数値を見て一喜一憂しがちですが、実は偏差値表の正しい見方についてよく分かっていない親御さんは少なくありません」、そう話すのは本連載でおなじみの中学受験プロ家庭教師、西村則康さん。一体、どういうことなのでしょうか。正しい偏差値表の読み取り方と、学年ごとのテストや模試の活用法について教えてもらいました。

母集団が変われば偏差値も変わる

「前回の模試よりも偏差値が大幅ダウン……」
「過去最高の点数だったのに、前回より偏差値が下がってしまったのはなぜ?」

 わが子の模試の結果が戻ってくると、真っ先に目が行ってしまうのが偏差値。しかし、いまひとつ見方が分からないという人も多いのではないでしょうか?

 偏差値について、西村さんは次のように解説します。

 「偏差値とは、テストを受けた集団の中で、自分がどれくらいの位置にいるかを表す数値です。そのため、母集団の学力レベルによって大きく変わってきます。例えば、高校受験なら全国の中学3年生全体が母集団になりますが、中学受験の場合は全国の小学6年生のうちの、都市部を中心とした、わずか15%ほどにすぎません。中学受験をする子というのは、小学校で勉強の得意な子たちが比較的多いです。そのような優秀な子たちが受ける模試の平均点を偏差値50とし、平均点からどれくらい高い、あるいは低い点数だったかを見て、その時点の受験生のポジションを相対的に把握し、志望校選びの参考にします。

 ここで気を付けたいのが、志望校のレベルと母集団とのミスマッチです。首都圏では難関校を狙う子が集まる大手四大塾の一つ、サピックスの模試、難関校から中堅校までをボリュームゾーンとする四谷大塚や日能研の模試、中堅下位校までをカバーする首都圏中学模試センター主催の首都圏模試と、主に4社が実施する公開模試があります。準大手の塾なども、それぞれ模試を行っています。例えば最難関校志望で首都圏模試を受けても、同偏差値帯の学校を志望する子が母集団に少ない上、実際の問題傾向も大きく異なってくるので、正しい判断材料とはなりづらい、と言えます。

 また、それぞれの模試の偏差値は5から10ポイントの差があるため、どの塾の模試を受けるかで偏差値も大きく変わってきます。5年生までは通っている塾の模試を受けるのが一般的ですが、6年生の秋以降は、受験する学校のレベルに合わせて、外部模試も含めて受ける模試を選択するようにしましょう」

 西村さんが勧める模試の選択の目安については次の通りです。