中学受験では、国語と算数に比べて配点が低い理科。そのため、テスト前に暗記をすれば何とかなると思っている家庭は少なくありませんが、それでは「理科が得意!」と言えるまでは点数が伸びません。理科を得意な子にするには、日常の中で理科という科目を身近に感じさせることが何より大事。テストのために暗記した知識は時間が経つと忘れてしまいますが、子どもは自分の体験で得た知識は忘れません。
そこで、今回は「夏のお出かけ」や「夏だからこそできる体験」を通じて得られる学びを、中学受験情報局主任相談員で理科を担当している辻義夫先生に教えていただきました。この夏、ぜひ取り入れてみてくださいね。
小さいうちから、見た目や動きが不気味な生物にたくさん触れさせる

DUAL世代にとって、小学生時代に「ジャポニカ学習帳」にお世話になった人は多いことでしょう。ジャポニカ学習帳といえば、虫の写真の表紙が印象的でしたが、その虫が“気持ち悪い”という理由で、数年前に表紙が変わったことが話題になりましたよね。
昨今のこのような状況について、辻先生はこう話します。
「虫に限らず生き物全般が苦手という子が毎年増加しているように感じます。そういう子は、虫や人体の写真やイラストが載ったテキストも気持ちが悪いからといって開きたがらず、そもそも興味を持てないので、勉強する気も当然湧きません」
「けれども、中学入試では必ず出題される生物分野。『気持ち悪い』という理由で避けて通るわけにはいきません。一度、苦手意識を持ってしまうと、克服するのは大変です。だから、そうならない前に、できるだけ小さい頃から生き物に触れさせることが大切です」
「夏休みに海水浴へ行く家族は多いと思いますが、理科に興味を持たせたいなら、整備された砂浜のビーチではなく、潮だまりや岩場へ連れていってあげてください。潮だまりにはヤドカリやエビ、岩場にはフナムシなど色々な生き物が生息しています。そういう場所にいるのは、見た目や動きが不気味ないわゆる“キモい”生き物。それを“キモい”と感じる前に、小さいときから見たり触ったりする経験をさせておくと、色々な生き物に対する抵抗感もなくなります」
「特に都会のマンション育ちの子どもは、土や水(川・海)とかけ離れた生活をしているので、生き物を身近に感じる機会がありません。ですから、あえて触れさせることが大事です。実際に見たり触れたりすることで、この世には人間以外の生き物が無数に存在すること、それが自分たちの身近にいることを教えてあげてください。理科を好きにするには、いかに身近に感じさせてあげるかがポイントなのです」
「こうした体験を踏まえたうえで、連れていってほしいのが博物館です。よく子育て本などで『賢い子にするには博物館へ連れていくといい』とありますが、先ほど言ったような素地がないのに、博物館へ連れていっても効果はあまり期待できません。自分でその生き物を見たり触ったりした経験があるから、『昆虫の骨格の作りはこうなっているんだ~!』などと興味を持って見るようになるのです」
では、辻先生おすすめの博物館はどこでしょう?
次ページから読める内容
- 地層、火山、砂漠…、関東地方はジオパークの宝庫
- 「お客様センター」は、好奇心を持つ子どもの味方
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