小学生がチャレンジする中学受験は、高校受験や大学受験とは異なり、子どもがまだ精神的に幼いため、親のサポートが必要になります。そう言うと、「うちは共働きだから無理」と考える人がいるかもしれません。しかし、一概にそうとは言えません。「むしろ、共働きのほうが、子どもが主体的に勉強するようになります」と、人材育成コンサルティングの清水久三子さんは言います。実は清水さんも子どもが中学受験を経験した「受験親」です。仕事で全国を駆け回っている多忙な清水さんは、一体どのようにお子さんの受験サポートをしてきたのでしょうか。

「PDCAもどき」に陥っていないか

 一般的に中学受験の勉強は、塾の受験カリキュラムがスタートする小学3年生の2月から6年生の入試本番まで、約3年間かけて準備をしていきます。この3年間のプロジェクトを円滑に進めていくには、長期的な目標と短期的な目標、そして日々の計画を立てることが重要になります。

 清水さんはこう話します。

 「子育てとビジネスは相反するものと思われがちですが、実はビジネスで習得したスキルを子育てに生かせることはたくさんあります。私は子どもの中学受験で、PDCAを取り入れました。PDCAとは、Plan(計画)、 Do (実行)、Check(振り返り)、 Act(改善)の略で、業務の継続的な改善を目的とした仮説検証サイクルです。継続的な改善という点では、中学受験の学習計画を立てる際にも有効です。実際、わが家はこのPDCAを子どもがうまく回せるようになったことで、親が付きっきりで受験サポートをしなくて済みました。むしろ、それによって子どもが自ら勉強できるようになり、主体性を伸ばすことができたと感じています

 「しかし、ここで一つ気を付けなければならないことがあります。それは、『PDCAもどき』に陥らないことです。PDCAというと、上司から指示された内容をきちんと進められているかといった進捗管理や、目標に対して結果が出せているかといった成績を管理するものと思っている人は少なくありませんが、それは間違って使われている『PDCAもどき』です」

 「本来のPDCAは、実行する人自らが『こうしたらよいのではないか』という仮説を立てて(Plan)、それを強制されることなく実行し(Do)、行動の良い点と悪い点を振り返り(Check)、次はどうすればいいか改善案を考えるもの(Act)であって、誰かが立てた計画を無理やり実行させられるのはPDCAではありません。小学生に対しても同じことが言えます。とはいえ、精神的にまだ幼い小学生が、これらすべてを自分自身で行うのは難しいでしょう。そこで初めは親がしっかりサポートをしてあげる必要があります」

 では、具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか?