連日ニュースでウクライナ問題などが報道されているなかで、「地政学」が注目を浴びています。地政学とは、政治を考えるにあたって、その国の地理的な条件を研究する学問分野です。中学受験の社会では「地理」「歴史」「公民」の3分野を学習しますが、これらの学びは「地政学」とも結びつきます。社会科指導のプロで、個別指導教室SS-1副代表の馬屋原吉博さんに解説してもらいました。

受験勉強の基本知識は地政学に生かせる

 ここ数年、「地政学」をテーマにした書籍がたくさん書店に並ぶようになりました。そもそも「地政学」とはどんな学問なのでしょうか。

 馬屋原さんはこう説明します。

 「地政学とは、簡単に言うと『国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考える』アプローチを学ぶ学問のことです。『シーパワー(海洋国家)』や『ランドパワー(大陸国家)』といった言葉を聞いたことはないでしょうか。米国、日本、英国はシーパワーで、中国やロシアはランドパワーです。世界史をひもとくと、シーパワーとランドパワーは衝突を繰り返してきました。

 このように、地政学と大きく関わるのは世界地理や外交のため、日本地理や日本史を中心に学ぶ中学入試の勉強では地政学的な内容が直接出題されることはあまりありません。しかし、地政学を学ぶ上で必要な『地形』『気候』『産業』『文化』といった基本的な知識は、中学受験で学習する内容そのものです。

 つまり、中学受験の内容を活用することで、地政学的な視点で物事を見ることができるようになるのです」

 中学受験の社会の学習は日本地理の、各都道府県の名称と各地域の特徴からスタートします。では、そこからどんな地政学的な視点を得ることができるのでしょうか。