全国的に見れば中学受験はごく限られた世界の話ですが、首都圏の一部の地域では4人に1人が中学受験をするといわれています。「首都圏に暮らす子育て世代で、中学受験が全く気にならない保護者はいないのではないでしょうか」と話すのは、長年中学受験の指導やカウンセリングをしている小川大介さん。実際、小川さんのところには「中学受験をするか・しないか」に悩む保護者の声が届くと言います。では、迷ったときは、何を基準に選択していけばいいのでしょうか? 

なぜ今、子育てはしんどいのか?

 2020年度の中学入試が終盤を迎え、新4年生は本格的な受験勉強が始まります。低学年の頃から受験を意識してきた家庭、塾が始まるタイミングで「中学受験をする」と決めた家庭、検討した結果「うちは中学受験をしない」と選択した家庭、今もまだ迷っているという家庭、などさまざまでしょう。

 共働き家庭にとって、中学受験の選択は一大決心です。子どもが小学校に上がってからの家庭の話として、こんな風景があります。朝早く親は出勤し、ランチの時間を省いてパソコンに向かう。やり残している仕事はあるけれど、待っている子どもがいると思うと「早く帰ってあげなきゃ」と気持ちが焦る。だけど、周りがまだ仕事をしている中、一人先に帰るのはやっぱり気まずい。そんな葛藤と闘って帰宅したものの、「ちゃんと終わらせておこうね」と言っておいた宿題に手を着けずにテレビを見て笑っているわが子の姿……。それで怒りが爆発!

 特に子どもが小学校に上がってからは心に余裕が持てず、大変さを感じているママ・パパは多いのではないでしょうか。

 また、保育園時代はみんな共働き家庭だったから、それほど感じていなかったけれど、小学校になると幼稚園からの子もいて、「○○ちゃんは英語を習っているんだって」「○○くんは1年生のときから塾に行っているよ」なんて話を子どもから聞くと、「私が仕事をしているから、しっかり見てあげることができない。こんな状態で、この子の力を伸ばしてあげられるのか……」と気持ちがザワザワしてしまう。

 小川先生によると、以前は中学受験を目指している家庭から「どうしたら成績を上げることができますか?」といった受験に関する相談が多かったのが、最近は「子どもに中学受験をさせたいと思っているのですが、私が仕事をしているので十分なサポートをしてあげられない。どうすればいいのでしょうか?」といった親自身の悩みの相談が増えているといいます。

 「今の時代、特に仕事をしているお母さんたちは本当に忙しく見えます。皆さんの子ども時代を振り返ってみてください。皆さんが小学生だった頃、皆さんのお母さんはここまで忙しかったでしょうか? 当時は専業主婦のお母さんが多かったのではないかと思いますが、今のように親が子ども同士の遊びの約束に関わったり、習い事の送り迎えをしたりすることはあまりなかったように感じます。そもそも、当時は受験で塾通いをする子はごく一部で、また、入試に必要な学習量も今と比べたら少しで済みました。受験家庭だとしても、親が子どもに付きっきりなんてことはなかったのです」

 「でも今は、度重なる児童の事件で、子どもだけで行動することを心配する保護者が増えました。また、放課後にグラウンドを開放しない小学校も増え、子どもの遊び場が限られるようになりました。そこに、中学受験熱の高まりが加わり、塾や新しいタイプの習い事で、小学生の放課後の過ごし方が大きく変わりました。こうした中で子育てをするのは、気持ちの面でも物理的にも、しんどい。保護者からその大変さが伝わってきます」

中学受験は親のサポートも必要(写真はイメージです)
中学受験は親のサポートも必要(写真はイメージです)

次ページから読める内容

  • 「みんながするから、うちも」では、親子でしんどくなる
  • 公立中学進学こそ、その先をしっかりイメージしておく
  • 「よそはよそ」「うちはうち」 子育てビジョンを持つ

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