「お子さんを賢い子に育てたいなら、幼少期は、何はともあれ遊ばせるのが一番!」

そう話すのは、意外にも、中学受験のプロとして活躍している小川大介先生。小川先生によると、幼少期からドリルをやらせるよりも、たくさん遊んで「熱中体験」をした子のほうが、将来的には賢くなると言うのです。

今回は、『頭がよくなる子どもとの遊びかた』という著書も出版した小川先生に、2回にわたって「幼少期の子どもの遊び」について教えてもらいます。前回は、なぜ幼少期に遊ばせることがよいかをお伝えしました。2回目の今回は、具体的にどんな遊びが学びにつながるかを紹介していきます。共働きの忙しい家庭でも簡単にできる遊びを中心にご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

第1回 頭のいい子に育てたいなら、幼少期はとことん遊ばせて
第2回 簡単オススメ!紙と鉛筆を使い、子を賢くする方法 ←今回はココ

線引き・落書きで図形センスを磨く

 幼児期におすすめの遊びというと、何か知育玩具をそろえなければと思う親は少なくありません。もちろん、知育玩具にはそれなりの良さがありますが、ここで紹介するのは、「日常生活の中で簡単にできる遊び」です。

 では、まず、紙とえんぴつを用意してください。線を引いて遊びましょう。

 小川先生はこう言います。

 「お絵かきに興味がある子は、1歳くらいから自分で絵を描き始めます。夢中になっていることを好きなだけさせてあげるのが『遊び』の基本ですが、自由なお絵かきとは別で、ぜひご家庭でやってほしいのが、『線で遊ぶ』体験です。なぜなら、『線を線として描く』ことが、地頭をよくすることにつながるからです」

【線で遊ぶ】  A4のコピー用紙やノート、新聞広告や包装紙の裏など何でもいいので、手ごろな紙を机や床に広げる。子どもの隣に座り、ゆっくりとえんぴつで1本線を引きながら、「○○ちゃん、えんぴつでお母さんの後についてきてね~」と声をかけ、線を引いていく。子どもが食いついてきたら、スピードをアップしたり、クルクル回転させたり、『海に来ました~!』と言いながら波線にしたりするなど、変化をつける。声をかけながら、楽しく遊ぶことがポイント!

 「この遊びのメリットは2つあります。1つは、文字や数字を書く基本が身に付くことです。小さな子どもにとって、1本の線を引くというのは、かなり難しい作業で、特に横向きの直線は高度です。線遊びになじんでいる子となじまないままの子では、本格的に文字や数字を学び始めてからの定着に大きな差が出ます。そのため、お絵かきとは別に『線は線として描く』経験が欠かせないのです」

 「2つ目は形に対するセンサーが磨かれていくということです。直線、曲線から始め、丸、三角、四角などへの図形に発展させていくと、子どもは自分の手で動かしたものが形になる感覚を味わえます。すると、図形としてものを捉える目が養われ、ひいては算数の図形問題にも馴染めるようになります」

 線を描くことに慣れたら、もう少し高度な遊びにチャレンジしてみましょう。おすすめは「一筆書き遊び」です。お子さんが日ごろからよく描いている絵(例えば花や車などシンプルなもの)を一筆書きしてみましょう。

 「初めは親子で一緒にやります。いくつかやっていくうちにコツを覚えてくると、今度は子どものほうから『○○は一筆で描けるかな?』と言ってきます。色々試してみましょう。図形センスのある子なら幼児でも、『一筆書きできる図形とできない図形がある』『この角から始めたら最後までいけるけど、こっちはダメ』といったことに気づきます」

 「そうやって遊んでいるうちに、先を予測する力や試行錯誤しながら問題解決する力が育ってくるのです。紙の迷路遊びにも同じような効果があります」

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