「AbemaTV」や広告事業を展開するメガベンチャーのサイバーエージェント。社員の平均年齢が31歳とママ・パパ世代が多いということもあり、共働きにも役立つ制度を充実させてきた。「macalon(マカロン)」という女性社員向けの人事制度も進化し続けている。上編では、「macalon」の名付け親である人事本部の田村有樹子さんに、サイバーエージェントの共働き子育て施策について話を聞いた。

 2018年には20周年を迎え、ゲーム市場への参入、インターネットテレビ局「AbemaTV」の運営など、新たな事業に果敢に挑んでいるサイバーエージェント。

 企業ビジョンに「有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現」とあるように、社員の働きやすさの追求に手を抜かない文化が、会社を前進させ続けているのかもしれない。

 例えば社員の働きやすさを重視した制度に、「2駅ルール」「どこでもルール」がある。オフィスの最寄り駅から2駅圏内に住んでいる社員に対して、月3万円の補助が出たり、勤続年数丸5年を経過した社員に対してどこに住んでいても月5万円の補助が出たりするものだ。

 「休んでファイブ」という制度もあり、入社3年目以上であれば、毎年5日間連続して年次有給休暇を取得できる。プライベートを充実させることで仕事への好影響を狙っている。

 近年はパパが子育てに参加しやすい環境も整ってきているという。

 「男性で育休を取る人が増えています。昨年度は8人が取得しています。長いと1年くらい取る人もいますし、半年以上取った社員も3人ほどいます。今後取る予定の人も控えていて、続々と相談者は増えています」と、人事本部の田村有樹子さんは話す。

 それが狙いだったわけではないようだが、同社の独自の文化が男性育休の取りやすさにつながっているという。「弊社は事業の変化が速く、月に二度社内異動のタイミングがあるんです。人員をフレキシブルに補充しやすいので、気兼ねなく育休が取れる。それも功を奏しているかもしれません」(田村さん)

人事本部の田村有樹子さん
人事本部の田村有樹子さん