子連れ出社OK、役職や上下関係はない――。東証1部上場企業でありつつ、常識を覆す“未来型”ともいえる組織運営をしている「アトラエ」。同社の働き方について、2回に分けて紹介する。社内結婚して子育てをしている夫婦社員の妻が登場した前編に続き、後編は夫が同社の取り組みについて話してくれた。

<アトラエ取材リポート>
【前編】 子連れ出社可 無駄なストレスなく働ける環境を徹底
【後編】 家族も職場も チーム力強化できるパパ その秘訣は ←今回はココ

職住接近の大きなメリット

 「2009年に新卒入社して11年目です。途中、リーマン・ショックで40人いた社員が12人になり、苦しいときも経験しましたが、2018年には東証1部に上場しました。他の会社で働いたことがないので、『時間重視で働く』『社内に上下関係がある』などの普通の企業カルチャーは正直言ってあまりよく分からないですね」。アトラエの平井雅史さんはそう話す。

 前編で登場した佐久本侑里さんの夫である平井さん。朝は夫婦2人で0歳と2歳の子どもを保育園へ送ってから出社、小4の長女は学校が終わると「ただいまー」と会社に帰ってくる。職住接近を推奨している同社では都心の家賃事情を考慮して1人2.5万円の家賃補助がある。子どもがいる社員は1人5万円というファミリー向けの制度も3年前にできた。

 「夫婦とも通勤電車をストレスに感じるタイプです。都心なので家賃は高いですが、ストレス回避料という考え方で一致しています。職場の近くに住んでいるおかげで、たとえ20時に会社を出たとしても15分後にはみんなで夕飯を食べ始めるのに間に合います。長女の姿を会社で見ることもできますし、夫婦とも働くことに集中できているうえに、子どもたちと一緒に過ごす時間はとても長いです。家族の絆は強いと言えると思います

男性初の育休も取得、みんなで沖縄で過ごした

 一番下の子が生まれて約1カ月後に3週間の育休を取得した。これまで同社では、子どもの小学校受験に合わせて1カ月間休んだパパ社員の前例はあったが、男性の育休取得としては平井さんが第1号という。熟慮の末、育休期間を家族5人で妻の佐久本さんの実家のある沖縄で過ごすことを決めた。

平井雅史さん、佐久本侑里さん夫婦
平井雅史さん、佐久本侑里さん夫婦