子連れ出社OK、役職や上下関係はない――。東証1部上場企業でありつつ、常識を覆す“未来型”ともいえる組織運営をしている「アトラエ」。同社の働き方について、2回に分けて紹介する。登場するのは、社内結婚して子育て中の夫婦社員。前編では妻が、後編では夫が同社の取り組みについて話してくれた。

<アトラエ取材リポート>
【前編】 子連れ出社可 ストレスなく働くことを追求する組織 ←今回はココ
【後編】 育休は沖縄へ、定例夫婦ランチ、チーム力強化の秘訣

子連れ出社しても、誰も困らない環境

 「長女は小4ですが、学校が終わると、会社に『ただいまー』と帰ってきます。もう学童に行っていないので、社内の空いている席に座って宿題をしたり、会社から習い事に行ったりしています」。そう話すのは、0歳、2歳、10歳の3人を子育て中の佐久本侑里さん。仕事が終われば、社内結婚の夫と3人で保育園に下の2人の子どもを迎えに行くこともあるという。

 求人メディアの企画・開発・運営などを手がけるアトラエは2003年創業。2006年に第二新卒のような形で中途入社した佐久本さんは、古株社員の1人だ。

 「社員はみんな、子どもが会社にいる光景を、当たり前だと捉えています」と佐久本さん。隣に座っている同社広報の南香菜絵さんは、抱っこひもに生後11カ月の赤ちゃんを抱えている。佐久本さんにも11カ月の子どもがいるが、「私は保育園に預けるという選択をして、南は連れてきて働くという選択をした、というだけのこと」(佐久本さん)。各自の選択が実現する背景には「意欲あるメンバーが無駄なストレスなく働ける環境を整える」という会社の方針がある

 子どもは泣くこともある。ほかの社員から苦情は出ないのだろうか。「例えば、これは南にとって大事な電話だな、というタイミングで南の赤ちゃんが泣くと、周囲にいる誰かがすっと抱っこして遠くに連れて行く。みんな自然と協力する姿勢になっています」(佐久本さん)。同社社員の平均年齢は29歳。社員56人のうち7割が新卒採用だという。「新卒採用の、子どもがいない若手社員も、最初から子どもがいる環境で働いているので、みんな自然にそういう動きになりますね」(佐久本さん)

左から、佐久本侑里さん、南香菜絵さん、佐久本さんの夫である平井雅史さん
左から、佐久本侑里さん、南香菜絵さん、佐久本さんの夫である平井雅史さん