同社には、事業を推し進めるプロジェクト以外に、同社の組織全体を押し上げるための取り組みをする「ワーキンググループ」というくくりも存在する。こちらは「採用」「評価制度の変更」などそれぞれ必要な時期にグループができて、任務が終われば解散する仕組み。参加したい社員は自ら手を挙げる。ちなみに佐久本さんの業務である内部統制には、改善案などを検討するワーキンググループもあり、佐久本さんはこちらにも属している。「プロジェクトは1人1つですが、ワーキンググループは本人の意思次第で複数所属することも可能です。時間配分はプロジェクトが80%、ワーキンググループは20%ぐらいが目安とされていますが本人の意思に任されています」(佐久本さん)

1対1のダイレクトなやりとりは禁止

 フラットな組織を実現するために同社が実施しているのは「情報格差」をなくすこと。「個人の給与金額を除いて、経営数値も含めて情報はすべてオープンです」(南さん)。従来の階層型組織においては、役職が上の人が、より重要な情報を占有していた。情報格差は権限の集中につながるという考え方に基づいている。

 「社内コミュニケーションにSlackを使っていますが 1対1のダイレクトなやりとりは禁止。プライベートチャンネルと呼ばれる、招待しないと入れないチャンネルも原則禁止です。基本的にはすべてオープンのチャンネルなので、社内の人は誰でも見られます」(佐久本さん)

 同社では新卒入社の社員でも、やる気があれば、10年前からいる社員と同じ業務を担当できる。「例えば『クライアントに向けてこんなメールを送ります』という1年目社員の発言を、先輩社員が見ていたとしたら、『このメッセージだと語尾はこちらのほうがいい』などのアドバイスできます。よりよいアウトプットが出せるのです」(南さん)

 「先輩が後輩に、あるいは後輩から先輩にアドバイスしてもいいですし、全然関係ないのに横からごめんね、というのもあります」と佐久本さん。

 コミュニケーションをオープンにすると、一部の人に権力や情報が集まるのを防げるため、パワハラや陰湿な仕事の丸投げを防ぐなどの効果も期待できるという。

 また、フラットな組織ゆえに、さまざまな意見が引き出されやすい。「自分たちで何でも考えていいという大前提があるから、不満だけ言って終わるのはかっこ悪いとされる風土があります。何か不満がある場合でも、愚痴で表すのではなく、『ここはおかしいと思う、こうしたらどうでしょう』と昇華させた形で上がってくることが多いです」(佐久本さん)

 56人という小さな組織だから可能かとも見えるが、「チームをアメーバみたいに増殖できるため、組織が大きくなっても大丈夫です」と南さんは説明する。

 では、上司と部下の関係がないなら、どのように査定や評価をしているのだろう。