禁酒するとインセンティブがもらえる徹底ぶり

 財産である「人財」の健康管理も徹底している。実は、SCSKの働き方改革はそもそも「健康」をキーワードに始まった。「健康は会社の礎です。『役職員の健康は経営者の責任』です。役員が休むと会社の決断が止まってしまいますよね。社員の健康は、家族のためだったり、仕事のためだったりしますが、何をするにも健康第一なんです。『技術の前に人ありき』です。長時間労働で疲れていないとお客様に元気に挨拶できる。人としてとても大切なことです。元気な挨拶もできなかったら、いくら技術があっても駄目ですよ」

 具体的な施策が、2015年度から始めた「健康わくわくマイレージ」だ。休肝日やウオーキングの歩数などを自己申告で毎日入力、健康診断の結果と合わせて、年間の達成度に応じてインセンティブ(お金)がもらえるユニークな仕組み。「僕も当然、率先してやってますよ。週に2日は禁酒しなきゃいけないから、平日夜のスケジューリングがなかなか難しい(笑)。後は、ちゃんと朝食を食べたり、歯磨きしたりするとポイントがもらえるんですよ。どんな施策でも全社を巻き込むのは難しいし、なかなか時間もかかる。ですから、『おや、何か面白そうだな』とみんなが思う取り組みが有効なんですよ」

「働き方改革に近道はありません」

 売り上げが落ちることを覚悟して働き方改革を始めた。だが、蓋を開けてみれば、5期連続増収増益という右肩上がりの業績に結びついた。「社員は自信を持ったと思います。頑張ったら残業削減や有給休暇取得の目標を達成できた。そのうえに売り上げも上がった。人間は1回自信がつくと、またやりたくなる。そこから好循環が始まるんです」

 「働き方改革に近道はありません。これまでの延長線上のやり方では無理だから、業務のやり方を根本から見直してきました。必要なのは社員の心に訴えることと、経営者の覚悟ではないかと思います。将来成長するために今やらないといけないことには投資します。そのせいで企業としての伸びが一時的に鈍化しても言い訳しない。例えば、三段跳びしてつまずいたら下まで落ちますよね。僕たちは一段一段確実に、ちょっとつまずいたぐらいでは下まで落ちないようにしたい」
 
 思わぬ副産物もあった。働き方改革が有名になるにつれて、新入社員採用や中途採用の希望者が増えているのだ。新入社員の採用数はこれまで100人規模だったが、200人を超える採用目標に増やしても、十分対応できた。「グループ会社の採用希望者も増えていると聞きます。本当に嬉しいことです」