企業を取り巻くさまざまなリスクを回避するためのITサービスを提供するGRCS。子育て中の女性や他の企業を定年退職した年配者などを積極的に採用。コアタイムがなく、基本的にはどこでリモートワークするのも自由という「完全フルフレックス制度」を設けていたり、業務内容次第ではあるものの、地方在住者は完全在宅で仕事ができたりといった、多様な人材が無理なく働ける仕組みづくりを進めている。上編では、GRCSが取り組んでいるさまざまな人事施策について聞いた。

<GRCS 企業リポート>
【上編】勤務を分単位で記録 断続的リモートワークも可能に ←今回はココ
【下編】ワンオペの2児ママ 転職で「ハーフ社員」に

 GRCSという社名は、「ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンス・セキュリティー」という4つの言葉の頭文字をつなげたもの。その名前の通り、さまざまな企業リスクを回避するためのコンサルティングやIT製品・サービスを提供する、というのが同社のミッションだ。2005年にFrontierXFrontierという社名で創業したが、昨年3月、業務内容を表す現社名に変更した。

 現在社員数は87人で、そのうち24人が子育て中のママやパパ。小さな子どもを育てている女性の採用にも積極的だ。

 「代表の佐々木慈和も自身も子どもを持つ父親で、子育て中の母親たちが、家庭内でいかに山積みのタスクをスムーズに処理し、時間管理にたけているかを熟知していたことから、まだ共働きがこれほど世間で叫ばれてはいなかった8年ほど前から積極的な『ママ採用』をスタートさせました」と、広報担当の深井翠さん。今は、定年退職したシニア層の採用にも意欲的で、既に3人が在籍している。若手とシニア、子育て中の人など、さまざまな背景を持つ社員が共に働く多様性のある環境が着々と醸成されつつあるという。

 子育て中の人やシニアは、能力はあっても、働く時間や働き方に制約が生じることがある。そこで同社では、当人たちが希望する働き方を、可能な範囲で受け入れてきた。

広報担当の深井翠さん。いったん専業主婦となった後、3歳と1歳の子連れで再就職活動をし、パート社員から3年後に正社員登用された
広報担当の深井翠さん。いったん専業主婦となった後、3歳と1歳の子連れで再就職活動をし、パート社員から3年後に正社員登用された