2017年からテレワーク制度を導入し、20年7月には製造拠点などを除く国内約8万人のグループ社員を対象にテレワークに全面シフトすることを発表した富士通。ニューノーマルにおける新たな働き方のコンセプトが打ち出されたタイミングで育休から復帰したママ社員に話を聞いた。前編では、現在の働き方やテレワークの状況について紹介する。

<富士通 企業リポート>
前編 富士通 テレワークの環境どう整備? 育休復帰ママの声 ←今回はココ
後編 富士通 時間と場所に縛られず成果を上げる風土づくり

 富士通の総務・人事本部人事部の荻荘由香(おぎしょう・ゆか)さんは、1歳半の女の子を育てるママ。2010年に入社し、事業所での人事管理業務を経て、現在は国内の人事制度企画を担当している。

富士通の総務・人事本部 人事部の荻荘由香さん
富士通の総務・人事本部 人事部の荻荘由香さん

 「人事部で働き方改革関連の企画を担当しています。当社では、17年4月からテレワーク勤務制度を導入し、働き方改革に取り組んできました。テレワーク制度の導入にあたっては、約2年間のトライアル期間を経て本格導入し、その一連の立ち上げ作業に従事した経験もあります」

 荻荘さんは18年から産休・育休に入り、20年7月に育休から復帰。その時期は、同社がニューノーマルにおける新たな働き方である「Work Life Shift」の推進を発表したタイミングだった。テレワークを基本とし、社員が自律的に働き方を選択する「Smart Working(最適な働き方の実現)」、目的に合わせて働く場所を自由に選択する「Borderless Office(オフィスのあり方の見直し)」、社員の高い自律性と信頼に基づくピープルマネジメントを実現する「Culture Change(社内カルチャーの変革)」の3つを柱としている。

 「約8万人の国内グループ従業員を対象にテレワークを推進していくこととなりました(※製造拠点や客先常駐者などは除く)。それを受けて、現在は円滑なテレワークを実現するための環境整備、各種施策の推進などに取り組んでいます」

 全社規模でのテレワークへの全面シフトにより、荻荘さんは在宅勤務が基本となった状態で育休から復帰することになったという。

 「復帰したばかりの7、8月ごろは、出社は月に1~2回程度で、ほとんどの業務がテレワークでした。現在も対面でのディスカッションが必要なときだけ出社するというスタイルで、基本的には在宅でのテレワークです。娘の保育園の送り迎えがあるので、現在は1日6時間の短時間勤務。9時すぎくらいから仕事を始め、17時前には終えることが多いです」