1999年から一部の社員を対象に在宅勤務を導入するなどの取り組みを進めてきた日立製作所。2度の産休・育休を経て、子育てと仕事の両立に対する職場の意識の変化を肌で感じてきたママ社員に話を聞いた。前編の今回は現在の働き方や活用している両立支援制度について紹介する。

<日立製作所 企業リポート>
前編 日立製作所 コロナ後見据えて在宅勤務活用を「標準」に ←今回はココ
後編 日立製作所 男性管理職の意識改革で過剰な配慮をなくす

 日立製作所の金融システム営業統括本部で主任を務める今泉直美さんは、小2の長男と4歳の長女を育てるママ。2003年の入社以来、営業職としてのキャリアを積み重ねてきた。

日立製作所の金融システム営業統括本部で主任の今泉直美さん。小2の長男と4歳の長女を育てる
日立製作所の金融システム営業統括本部で主任の今泉直美さん。小2の長男と4歳の長女を育てる

 「メガバンクを対象としたシステムの営業を担当しています。銀行業務のデジタル化を推進するために、顧客であるメガバンクが抱えているニーズや問題点を把握して、どのようなシステムがあればそれらを解決できるのかを考えて提案していくのが主な仕事です。システムの開発そのものはSEが担当するので、私たち営業部門は、どのようにして顧客の問題を解決するかというソリューション考案の業務を担っています。

 新型コロナの影響で、顧客も在宅勤務を基本としているので、ミーティングはほとんどがオンラインです。出社するのは、2週間に1回くらいですね。コロナ禍で在宅勤務を始めたばかりの頃は、会議中に子どもが『ママ~!』と部屋に入ってきてしまうこともありましたが、今は親子ともに在宅勤務のスタイルに慣れてきました」

 同社は、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言が出された後、出社せざるを得ない業務以外は原則として在宅勤務を推進し、全社の約7割の社員が実施。今泉さんの担当業務は在宅でも対応可能なため、今も在宅勤務を継続している。

 さらに、新型コロナが収束した「アフターコロナ」でも在宅勤務活用を標準とした働き方を推進する方針だ。新型コロナ前の働き方には戻らずに、在宅勤務を活用した新しい働き方を2021年4月に導入することを目指している。それとともに、以前から進めてきた「ジョブ型人財マネジメント」への転換を加速させる。一人一人の仕事・役割と期待成果を明確にする「ジョブ型」のマネジメントにより、社員の働く姿が見えにくくなる在宅勤務でも、業務上の成果や貢献を適正に評価できる体制を整えたいという考えだ。