そう考える背景には、一人の先輩社員の存在がある。「4年上の女性総合職の先輩が、結婚、出産のパイオニア的な存在でした。彼女が仕事もプライベートも相談にのってくれたおかげでここまで辞めずにこられました」

何かを犠牲にしない環境をなんとかつくる

 管理職になるかならないかで迷う女性も多いなか、西浦さんは潔いまでに目標が明確だ。「管理職になると、何かを犠牲にしなくてはいけないかもしれない。でも犠牲にしないですむ環境を自分でつくることが大切ではないでしょうか。私の場合、子どもが犠牲になったように見えますが、両親に助けてもらえました。結果的には、あの期間はとても楽しかったですし、私の両親に育ててもらえたことは子どもたちのプラスになったと思っています」

「せっかくのチャンスなのでロールモデルになりたい」と話す西浦さん
「せっかくのチャンスなのでロールモデルになりたい」と話す西浦さん

 「管理職になりたい、なりたくないは個人の自由なので、自分の選んだ道を進めばいいと思います。人には得手不得手がある。私の場合は事務が苦手で、事務系の仕事しかない会社だったら辞めていたかもしれません。この会社は色々な部門があって、2~3年ごとに、色々な仕事で自分を試せる場をくれます」と西浦さん。

 冒頭の転勤の話もそうだが、西浦さんの言葉はすべてポジティブだ。「会社に歯向かう必要もないと思います。会社が自分に求めていることを早めに知ることも大事かもしれません。異動も転勤も感謝して成長の機会だと捉えればいい。私自身を振り返っても営業現場は楽しかった思い出しかないし、素晴らしい経験でした。社内の面談などを通して、だいたいみんなそれぞれの適性に合った方向に進んでいる気はします」

 「自分が先輩にしてもらったことを後輩にもしてあげたい」という理由で、時には自宅に後輩を呼んで飲むことも。「子どもがいるので、外ではなかなか飲めません。『家は片付いてないけど、気にしないでね』『ご飯持ってきてね』とお願いして集まります。後輩が、私の子どもに『ママは会社では偉いんやで』とか教えていて、『わざわざ娘に伝えてくれてありがとう!』みたいな感じ(笑)。後輩にも感謝しています」。

(取材・文/日経DUAL編集部 小林浩子、撮影/花井智子)