共済事業を専門に行う日本コープ共済生活協同組合連合会(以下、コープ共済連)。いわゆる一般的な「会社」ではないが、職員数は1000人を超える大組織だ。ママやパパも多く活躍し、女性の正規職員の8割が20~30代とこれから子育て世代を迎える職員もたくさん控えているという。下編に登場いただくのは、第1子出産に当たり、半年間もの育休を取得した男性職員の川野健太さん(仮名)。独自の視点で育児と向き合い、仕事でも見事な引き継ぎプランを実行した川野さんのパパ哲学とは?

<日本コープ共済生活協同組合連合会 取材リポート>
【上編】 コープ共済連、職員を妊娠前から手厚くサポート
【下編】 男性育休を半年取得 引き継ぎも名人級の哲学パパ ←今回はココ

「男性育休の取得に何の葛藤もためらいもありませんでした」

 コープ共済連には子育て中のパパも多く活躍しているが、男性が育休を取得するようになったのは、人事部門が取得を促し始めた2018年から。まだ数日~1週間といった比較的短期で取得するケースが多い中、半年間取得した入協9年目の川野健太さん(仮名・36 歳)は異色の存在だ。

 共働きの妻とともに生後11カ月になる女の子を育てている川野さんは、2018年10月の半ばから今年の4月末まで育休を取得した。

 育休前も後も、経営企画部に所属している。事業計画や中期計画を考え、出張も月2回ほどこなす必要がある、組織の中枢だ。そうした花形部署で思い切って育休を取得、しかもその期間は何と6カ月。育休を取りたくても「周りの目が気になる」「評価が下がるかもしれない」などと不安を感じ、踏み切れないパパたちがまだ少なくない中、葛藤はなかったのだろうか。

 しかし、本人はあっけらかんと、こう語る。

 「取りたいと思ったので取った、それだけです。特に引け目を感じませんでしたし、何のためらいも葛藤もありませんでした。子育て中の職員を大切にするコープ共済連の組織風土が背中を押してくれた面はあると思いますが、こんなに長期に取得したのは自分が初めてなので、いかにいい環境にいたとしても本人次第なのかもしれませんね」と川野さんは言う。

育休を半年間取得したコープ共済連の川野さん(仮名)

 「今まで、単純にここまで長期で取りたいと思った人がいなかっただけなのかもしれませんが、もし世の中に『取りたいのに取れない』と感じている男性がいるのなら、それは本人のおびえでしかないと思います。

 気になりがちな周りの目というものは、実際の周りの目などではなく、自分の中にある他人の目でしかないのではないでしょうか。意外に思うほど周りの人は気にしていないと思いますよ」と、淡々と、しかしとても力強く発言をする川野さん。

 このような考え方をするに至ったのには、大学院で哲学を専攻していたことに理由があるようだ。