共済事業を専門に行う日本コープ共済生活協同組合連合会(以下、コープ共済連)。いわゆる一般的な「会社」ではないが、職員数は1000名を超える大組織だ。ママやパパも多く活躍し、女性の正規職員の8割が20~30代と、これから子育て期を迎える職員もたくさん控えているという。【上編】では、コープ共済連で2回目の産休を取得予定のママ職員と、自身の出産・育児経験を糧に共働き世代が働きやすい組織作りにまい進する人事企画部のママ職員にお話を伺った。

<日本コープ共済生活協同組合連合会 取材リポート>
【上】 コープ共済連、職員を妊娠前から手厚くサポート ←今回はココ
【下】男性育休を半年取得 引き継ぎも名人級の哲学パパ

特別休暇と有給取得で産休の1カ月前から休みに

 「もうすぐ産休なんです」と、大きなお腹を抱えながら取材に答えてくれたのは、入協11年目の小泉里美さん(仮名・33 歳)。取材時には、産休中ではなかったが、すでにお休みに入っていた。

 「本来の産休開始は約1カ月後ですが、実はコープ共済連は、法定産休前に2週間、特別休暇が取得できます。私の場合、さらに2週間有休が余っていたので、法定の産休より4週間早くお休みに入りました」。2週間の特別休暇は、正規、非正規にかかわらずすべての職員に付与され、さらに産休前には有休を消化するというのがよくあるケースだという。

 共済金支払事務部門に所属する小泉さんは、第1子である3歳の長女も、ここコープ共済連で働いている間に妊娠・出産した。2008年に新卒で入り、2016年に第1子を出産。翌年4月の認可保育園への入園がかなわず、同年11月、なんとか認可外保育園に入れて復職した。

 「時短制度を利用し、9時30分~16時30分勤務で復帰しました。もともとは残業もいとわない働き方をしていたため、タイムリミットがあるのはきつかったですね」(小泉さん)

 しかし、無理して残業するほどではないという。

 「周りの協力体制がすごくて。しっかり引き継ぎさえすれば、チーム内でサポートし合うような風土なんです。有休も取りやすい文化なので、保育園からの急な呼び出しや、子どもの病気でお休みするのも、心苦しいと感じたことはないですね」と話す小泉さん。

5人の子持ち先輩ママを見て入協を決断

 そもそも、この職場を就職先として選んだ理由も、働きやすい組織風土に引かれたからだった。

産休前休暇中の小泉里美さん(仮名)。就職活動中に、当時採用担当だった5児のママの働く姿を見て就職を決めたという
産休前休暇中の小泉里美さん(仮名)。就職活動中に、当時採用担当だった5児のママの働く姿を見て就職を決めたという

 「私が就活をした頃は、リーマン・ショック前で、まだ学生に有利だったんですよね。だからいくつか選べる状況でした。私は結婚・出産しても働き続けたいと思っていたので、女性が働きやすい職場に行きたいと思っていたんです。

 いろいろ調べていくうちに、自分に合っていそうだなと、事業分離する前の日本生活協同組合連合会(以下、日本生協連)の採用試験を受けました(コープ共済連は2009年に日本生協連から事業分離)。その時の人事担当の女性が、5人を子育て中のママで。朝9時に電話したら『まだ出勤していません』と言われ、それなら夕方と思い17時過ぎに電話をしたら『もう帰りました』と言われて、びっくりしたんです。他の会社の人事担当者からは平気で夜中にメールが届いたりしていたので、ここならママになっても安心して働き続けられそう!と就職を決めました

 「第2子出産後も復職して、このままずっとここで働き続けたいですね」と小泉さんは話す。

 この「ママになっても働きやすい」組織風土を、人事制度や仕組み面からがっちり支えているのが、人事企画部に所属する2児のママ職員、静谷清子さん(42歳)だ。