男性育休取得者が1年で0人から10人へ

 2017年からは男性育休取得促進にも力を入れている。

 まずは、若手男性職員たちと1on1の面談を始めた。「まずは男性職員が育休を取りたいのか取りたくないのかを知りたかったんです。そうしたら、意外にみんな、周りの目を気にしているだけで、取りたくないわけじゃないということが分かりました。 そこから、出生届を受け付けたらメールで育休の説明を送るようにし、取得を促すようになりました」(静谷さん)

 そうしているうちに、どんどん男性職員側から相談がくるようになった。活動の成果はすぐに上がり、2017年度は、取得者が0人だったのが、18年度には10人に。「19年度もすでに多くの相談や申請を受け付けています」

上司が部下の子どもと「名刺交換」する夏休みイベントも

 毎年夏休みの時期に行っている「こども参観日」は、職員の子どもを会社に招き、「職場参観」として親の職場を案内するほか、コープ共済連の主業務である共済(保険)の仕組みについて教えたり、15年に新築した新社屋を探検してもらい、建築様式についてレクチャーしたりといったワークショップ付きのイベントだ。

2017年に実施した「こども参観日」の様子。グループに分かれて共済(保険)を設計し(左写真)、最後に紙に書いて発表し合った(右写真)。コープ共済連提供写真
2017年に実施した「こども参観日」の様子。グループに分かれて共済(保険)を設計し(左写真)、最後に紙に書いて発表し合った(右写真)。コープ共済連提供写真
2017年に実施した「こども参観日」の様子。グループに分かれて共済(保険)を設計し(左写真)、最後に紙に書いて発表し合った(右写真)。コープ共済連提供写真

 職場参観では、子どもたちの名前入りの名刺を作成し、職員の上司との名刺交換も経験させる。参加者のママ職員からは、「子どもが自分の上司に名刺を渡した際、上司から『いつもお母さんにお世話になっています』と言われ、うれしそうにしていた。親の仕事を誇りに思ってくれたようだ」と、喜びの声があったという。

 「このイベントを企画したのは、小学生の息子から『お母さんの職場を見に行きたい』と言われたことがきっかけでした。私自身、共働き家庭に育ったので、どんな気持ちで子どもが親を待っているのかということもよく分かっていました。うちの職員の子どもたちにも、安心して親の帰りを待ってもらうために、職場を見せる機会を作ってあげたいと思ったんです」と静谷さんは言う。

 こども参観日に参加した子どもが、親に「毎日こんなに遠くまで通っているのに、いつもお弁当を作ってくれてありがとう」と、感謝するようになるなど、その日を境に、子どもたちの親への接し方に変化が生まれるケースも多々あるという。企画は非常に好評で、毎年申し込みが殺到し、20人の枠がすぐに埋まるという。

 「『〇〇さんのお子さん元気?』など職員同士がコミュニケーションするきっかけにもなっています。今年で3年目ですが、これからも続けていきたいですね」と、静谷さんは言う。

2018年の夏休みに実施した「こども参観日」で最後に子どもたちに書いてもらった感想の一部。「親の仕事がどういうものか分かり、楽しかった」というコメントが相次いだ
2018年の夏休みに実施した「こども参観日」で最後に子どもたちに書いてもらった感想の一部。「親の仕事がどういうものか分かり、楽しかった」というコメントが相次いだ
2018年の夏休みに実施した「こども参観日」で最後に子どもたちに書いてもらった感想の一部。「親の仕事がどういうものか分かり、楽しかった」というコメントが相次いだ

 【下編】では、コープ共済連で初めて、半年という長期の男性育休を取得した男性職員にご登場いただく。

取材・文/磯部麻衣