「保育園は簡単に入れるものではない」とハッパも

 静谷さんは、中学3年生の女の子と小学5年生の男の子を育てるベテランワーママ。2007年に人事系システム会社から、事業分離前の日本生協連の総務部に転職。2009年の事業分離に伴い、コープ共済連の人事部に所属となり、2014年、女性の活躍をバックアップする担当者として任命された。

 「事業分離前の日本生協連にはワーママがたくさんいましたが、実は事業分離後のコープ共済連は女性職員の約8割が30歳以下という状態で、ワーママのロールモデルがほとんどいませんでした。これから子どもを迎えるであろう彼女たちに、まず自身の経験を生かせる産休育休の情報発信から始めました」と、静谷さんは話す。

 知らなければ意外に取得が難しい育休や産休、保育園の入り方や、それまでにどんな準備が必要かといった情報を、一人一人と面談する形で伝えている。その際、特に心がけているのは、「保育園は簡単に入れるものではない」と危機感を持たせることだという。

 「保育園入園のためにフルタイムとして認定される所定時間を1日8時間としている自治体が多いのですが、コープ共済連の勤務時間は7時間15分。これは保育園入園にあたって、とても不利なんです。自治体によっては総労働時間で判断してくれるところもあるから、まず自分が住んでいる自治体の情報をきちんと集めるようにハッパをかけたりしています」

 入協3年目から30歳までの若手女性職員を対象にした年1回のキャリアデザイン研修も2017年からスタートさせた。実は、この研修は決して「管理職を目指せ」というものではない。「若手の女性職員に先々までを見据えたキャリアを考えるきっかけにしてもらう」というのが狙いだ。