デジタルカメラから人工衛星まで幅広いものに組み込むソフトウエアを開発している企業「イーソル」。世の中の流れが「働き方改革」に向かう以前から、働き方を変えるプロジェクトに取り組み、着実に成果を上げてきた同社の施策を2回に分けて紹介する。前編は、育休復帰後、自らさまざまな資格を取得し、その糧をプロジェクトに生かして変革を推進した人事担当の女性社員に、後編は2回の育休を取得して仕事と育児を両立する男性社員に登場いただく。

<イーソル 取材リポート>
【前編】 「育児」「女性」の言葉をあえて使わず働き方を変革←今回はココ
【後編】 「人は誰しも休みうる存在」という前提が社内に浸透

管理部へ異動、強みを作りたくて自ら意欲的に資格を取得

 「うちの会社ではまだ無理かな」
 イーソルの管理部人事開発課課長の澤田綾子さんは、2011年にワーク・ライフ・バランスについてのセミナーに初めて参加したときの最初の印象をこう振り返る。

 「当時はどこの会社もそうだったと思いますが、必要なら長時間労働もやむなしという雰囲気で『残業も含めてやりきることが仕事の責任感だ』というような風土はありました。社会全体に『働き方改革が必要』という流れもまだありませんでしたし、正直難しいと思いました」

 澤田さんは、文理・経験不問で技術職を採用する同社にソフトウエア技術職として1999年に入社した。5年目に管理職になり、9年目で第1子の産育休を1年半取得。復帰後の2009年、人材開発に携わるために管理部に異動した。リーマン・ショックを受けて、景気に左右されない強い組織にするための人材開発機能に力を入れたいというトップの意向を受けた異動だった。

 「もともと、大学時代は教育心理学を専攻していました。とはいえ、人事の現場経験はなく、自信が持てる何かが欲しくて、自分でいろいろと勉強しました」。澤田さんは、育休中から通信講座で勉強したり、有休を使って研修を受講したりして、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ワーク・ライフバランスコンサルタントの資格を次々と取った。

 「子どもができたことで時間に制約ができ、時間をたくさん使って何とかするような仕事の仕方は厳しいなと感じました。また、技術職の管理職のときに、部下や同僚のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいのか悩んだ経験があったので、勉強することで、管理職の経験を生かして強みにできたらいいなと考えました

イーソルの管理部人事開発課課長の澤田綾子さん