日経DUALの「共働き子育てしやすい企業グランプリ2017」で6位にランクインした積水ハウス。同社の「両立しやすさ」について、パパ社員とママ社員にお話を伺い、前・後編に分けてお届けする。前編では、1年間の育休取得で「人生観が変わり」、その後も2030年の地球環境と社会、そして息子のために時短勤務を継続しているパパにご登場いただく。

育休取得で初めて分かった「家事・育児」の全体量

「一人暮らしの経験もあり、家事の全体量は知っているつもりだったが、子ども2人の世話が加わるとあっという間に3倍ぐらいになった」(積水ハウス・寺西さん)
「一人暮らしの経験もあり、家事の全体量は知っているつもりだったが、子ども2人の世話が加わるとあっという間に3倍ぐらいになった」(積水ハウス・寺西さん)

 「自分としては、それまでも家事・育児はそこそこやっているかなと思っていました。でも、育休に入って3カ月ほどしたら、これまでの自分の分担が全然足りていなかったことが分かりました。家事・育児の全体量を知らずに『これぐらいやっている』と思い込んでいたことが分かったんです」

 そう話すのは、現在、7歳と6歳の男の子を持つ、積水ハウス環境推進部主任の寺西一浩さん。寺西さんは、次男が2歳のとき、働きながら資格取得を目指すママを支援するため、約1年間の育休を取得し、専業主夫生活を経験した。同社では、子どもが3歳になる誕生日の前日まで育休を取ることが可能だ。

 「私自身、一人暮らしの経験もありますし、家事の全体ボリュームは知っているつもりでしたが、子ども2人の世話が加わるとあっという間に3倍ぐらいになるんですよ。子どもたちが通う保育園は布オムツを使う方針だったため、オムツを洗ったり、保育園のお昼寝用布団を持って帰って洗ったり、とにかくやることがいっぱいある。家事・育児の総量を10とすると、育休取得前は半分ぐらいやっているつもりでしたが、実際は1ぐらいしかやってませんでしたね

 育休を経て、“パパスキル”は格段にレベルアップした。「けんかの仲裁もうまくなりました。男の子2人なので、何か物を取り合って揉めることが多いんです。育休当初は『やめなさい』とか怒鳴って引き離すのがやっとでしたが、今や『ちょっとお兄ちゃん、芋の皮を剥かんかね?』みたいに別の面白そうなお手伝いに誘ってスムーズに収めつつ、家事も進められるようになりました」

育休を取得したことで人生が一変した

 育休を取得したことで、寺西さんの人生も一変したという。復帰後、寺西さんは2時間の時短勤務を選択。現在は、時短勤務4年目に入る。「時短勤務を取ることに決めたのは、育休中です」と寺西さん。そこに至るまでに、何があったのだろう。

 素地はあった。寺西さんは結婚前の2008年、会社から派遣されて、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のプロジェクトに参加するため、約1年間の米国暮らしを経験した。「女性の少ない日本の工学部と違い、MITの学生は男女比が半々。大きなショックを受けましたね」。さらにその1年間は、プロジェクトの一環で様々な国を視察し、そこで「衝撃」の光景を見た。「デンマークの住宅街を訪れたとき、平日の白昼堂々、パパが公園で子どもたちと遊んでいるのを見ました。『本当にパパも育児しているんだ』と驚きました」

 帰国後、結婚。長男と次男の誕生後1年間はママが育休を取ったが、頭の片隅に、米国滞在時の衝撃が残っていた寺西さん。「これが最後のチャンスだ」と育休取得を決めた。「ちなみに、積水ハウスでマイホームを建てたばかりだったので、子どもと新築の家で暮らしてみたかった、という思いも正直ありました」