「キリンビール」や「午後の紅茶」などの飲料分野から新薬開発を行う医療事業まで幅広く事業展開するキリンホールディングス。「キリン」といえばビールの印象が強いため、男性的な働き方をイメージするかもしれないが、2007年ごろから女性活躍や多様性の推進に力を入れている。施策の1つとして、子育て中の社員をはじめとした時間制約のある働き方に対する理解を深めるために始めた、全社員対象のユニークな「なりキリンママ・パパ(以下、なりキリン)」プログラムなどの人事施策について、前編と後編に分けて紹介する。

※取材は3月上旬に実施。その後、キリンホールディングスは新型コロナウィルス感染拡大防止のため、グループ社員を対象に「原則出社禁止・在宅勤務態勢」を徹底

<キリンホールディングス企業リポート>
前編 キリンの人事施策「なりキリン」でパパママになり切る
後編 キリン 女性社員に早めにリーダー任せキャリア支援 ←今回はココ

 前編でも紹介したキリンの人事施策「なりキリンママ・パパ」は、若手の女性社員のアイデアから生まれた。営業に従事する女性(エイジョ)の活躍促進に取り組む目的で多数の企業が参画している「エイジョカレッジ」に参加したキリンの営業女性社員5人が、2016年に「なりキリン」を提案。同プロジェクトにおいて高く評価され、受賞したことがきっかけだ。

 「当社は事業の性質上、営業職が多数を占めます。国内総合飲料事業に携わる社員の4割ほどが営業に携わっているのですが、出産し、子育てが始まっても営業現場で活躍できるのか疑問に思った若手女性社員が考え出したのが、この『なりキリン』でした」。こう説明するのは、小学校1年生、3歳の姉妹のママで、キリンホールディングスの人事総務部で「なりキリン事務局」を務める豊福美咲さん。

 「受賞したことで、まずはトライアルで一部の部署で展開していたのですが、手応えがあったため、2019年1月から全社展開をスタートしました。最終的にはキリンホールディングス、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの4社の対象社員約8000人全員が何かしら『なりキリン』研修に関わることを目標にしています」(豊福さん)

キリンホールディングスで「なりキリン事務局」を務める、人事総務部多様性推進室人事担当の豊福美咲さん
キリンホールディングスで「なりキリン事務局」を務める、人事総務部多様性推進室人事担当の豊福美咲さん

 「なりキリン」プログラムの基本形は、先述の女性社員5人が実際に営業職を担うママ社員にヒアリングした上で作られた。今運用している7つのルール(下記)は、その基本形をさらにブラッシュアップさせたものだ。

【ルール1】
基本はNO残業/研修の1カ月間は「1日7.5時間勤務」を徹底

研修を受ける社員が保育園の送りも迎えも担当するという想定のもと、研修期間中は出社時間と退社時間を固定(所定労働時間である7.5時間で調整)。基本的には残業もできない。

次ページから読める内容

  • 働くためにシッター代などがかかる矛盾を理解してほしい
  • 部署で「お母さんになります」宣言
  • 他企業・団体・行政へも無償でノウハウ提供
  • 女性のキャリアを支援する取り組み
  • 「親の介護」「パートナーの病気」も選択肢に加わった

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