日経DUALの「共働き子育てしやすい企業グランプリ2017」で6位にランクインしたNTTコミュニケーションズ。同社の「両立しやすさ」について、2人のパパ社員と人事担当にお話を伺い、前・中・後編に分けてお届けする。前編に続き、中編ではリモートワーク、フレックスタイム、時間休などを駆使して共働き子育てをするパパ社員の声を紹介する。早くから女性活躍に取り組んできた同社が直面する課題についても聞いた。

【子育て企業2017・第6位・NTTコミュニケーションズ】
(上) NTTコム 在宅勤務で育児時間を捻出した両立パパ
(中) カラオケルームも活用 柔軟な働き方を社内外へ発信 ←今回はココ
(下) NTTコムソル 仕事と育児の両立に不安は感じない

カラオケルームを社外オフィスとして活用

 想像してほしい。あなたは、ある会社で営業担当として働く社員である。今日は外回りの予定が数件あり、次の企業訪問までにはまだ時間がある。この空き時間で、できれば電話でいくつかの取引先と話をしたい。でも、そのためだけに会社に戻るのはどうしたって効率が悪い――。そんなとき、皆さんはどこで電話をするだろう。カフェや訪問先の企業のロビーで周りを気にしながら……だろうか。

 そんなとき、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)の社員の間では、カラオケルーム「ビッグエコー」を利用して仕事をすることが選択肢に挙がる。

 カラオケルームの個室内であれば、周囲の耳を気にせず、安心して仕事の電話もできるうえ、資料をテーブルの上いっぱいに広げても誰かに見られたり注意されたりする心配もない。パソコンを使いながらの作業も思う存分できる。複数の人間が座れるため、簡単な打ち合わせも可能だ。

 NTTコムは、ビッグエコーを展開する第一興商と2016年12月からこの取り組みを始めた。「カラオケルームは主要駅前などの便利な立地にありながら、平日日中の稼働率に伸びしろがある状態でした。一方、リモートワークが世の中に浸透するにつれ、個室のワークスペースが足りないというニーズはあります。ウィンウィンの事業として発案されました」(ヒューマンリソース部人事給与制度部門長の藤城夏子さん)

 もちろんNTTコム社員以外の人も利用可能だ。1時間1人600円(ワンドリンク付きで、オープン時間~19時まで)の「ビジネスプラン」として、東京都内を中心に全国32店舗で実施している。Wi-Fiは使い放題で、電源タップなども無料で貸し出している。

自社サービスを働き方改革に活用できるのが強み

 自社の生産性向上の取り組みを、自社サービスに応用できる、あるいは自社サービスを社内の生産性向上に活かすことができる。同社の強みは、なんといってもその点だろう。

 「IT企業なので、社内の課題はITを利用して解決します。リモートワークについても、セキュリティーが担保された自社サービスであるシンクライアント端末を2012年から順次、配布し始め、2015年には全社員に配布したことで、完全に社内に浸透しています。元は営業担当のニーズに応える形で始まったものですが、業務都合に応じてリモートワークを柔軟に活用できるため、丸1日会社に来ないという働き方も可能です」(藤城さん)

 「自由な働き方」の結果として陥りがちな長時間労働にならないように手も打ってある。「パソコンのログオンとログオフはシステムに記録され、申請された勤務時間と合わないと、『アンマッチ』の表示が出て、理由を記入する必要があります」(藤城さん)

「IT企業の強みを生かし、社内の課題解決にもITを活用することが多いです」(NTTコミュニケーションズ・ヒューマンリソース部・人事給与制度部門長・藤城夏子さん)
「IT企業の強みを生かし、社内の課題解決にもITを活用することが多いです」(NTTコミュニケーションズ・ヒューマンリソース部・人事給与制度部門長・藤城夏子さん)