2013年に創業し、保育士の就職転職支援事業などを行う「ネクストビート」。同社の両立支援施策について前後編に分けてお届けする。前編に続き、後編となる今回は、同社の制度を活用するなどして、2人の子どもを育てながらCSO(戦略責任者)として活躍する女性社員に登場していただく。

産後1カ月の過ごし方の重要性を学んだ

 「シンガポールでは、出産したら早期に復帰するのが普通でした。そのため、子どもを持つことがキャリアにとって問題になるとは考えられていませんでした」

 そう話すのは、同社の執行役員CSO(戦略責任者)の石毛陽子さん。石毛さんは、以前の職場である外資系経営戦略コンサルティング会社で戦略コンサルタントとしてシンガポールで働いていたときに第一子を出産した。

 「産後に早期復帰できる体制が社会的に整っていて、産後の給与補償をされる期間がシンガポール人なら4カ月、外国人なら3カ月なので、だいたいそれが終わったら復帰する人が多かったです」

 それが実現できる背景の一つには「産後専門のナニー(ベビーシッター)」の存在があるという。「私もお願いしましたが、産後専門のナニーさんが、泊まり込みでお世話をしてくれます。私自身の食事や家事、さらに赤ちゃんの夜泣きのお世話などもしてくれるので産後1カ月はほとんど寝たきり状態で自分の体力の回復に努められました。中華系のナニーさんが多いのですが、母乳がよく出る漢方スープを作ってくれたり、塩分を調整した食事を考えてくれたり、母体のケアと赤ちゃんのケアを両方してくれて本当に助かりました。この1カ月にきちんと休むことができたか、そうでないかが、その後を大きく左右すると思いました

復職に当たって周到に計画を立てた

 その後石毛さんは、転職して2018年からCSOとしてネクストビートに参画。シンガポールを離れて再び日本で働き始めた。同社で迎えた2人目の出産に当たっても、いち早く現場に復帰したかったため、産後1カ月半の早期で復帰する計画を周到に立てた。

 「みんながみんなそうするほうがいいとは考えていません。子どもを持つ、持たないも含めて、それぞれが自由に選択できる環境があるのが理想。私の場合は、自分自身に早期復帰したい気持ちがあり、幸運にも出産が順調で、子どもも健康で、助けてくれる実家の母もいたからできましたが、早く戻りたいと思った人が無理せず安心して早く戻れる選択肢と環境ができるといいと思います

ネクストビート執行役員CSOの石毛陽子さん
ネクストビート執行役員CSOの石毛陽子さん