2019年に「男性育休100%宣言」を出した、パナソニックコネクティッドソリューションズ社(パナソニックCNS社)。パナソニックの社内カンパニーとして2017 年に設立された同社の男性育休推進施策について、前・後編に分けて聞いた。後編の今回は、男性育休取得率を上げるために会社として取り組んできた施策などを具体的に紹介する。(取材は2021年2月 肩書は取材当時)

<パナソニック コネクティッドソリューションズ社 企業リポート>
前編 子が10カ月の時に育休取得 経理パパが得た学びは
後編 10日以上の「男性育休」取得が1→5割 奏功した策は←今回はココ

社長がトップダウンで「男性育休100%」を宣言

 「トップダウンのメッセージがあるかないかで、社内の男性育休にかかわる雰囲気は大きく左右されると思います」。そう話すのは、2020年に育休を取得した荒川亮太さん(カンパニー本社経理部海外ソリューション経理課主幹、詳細は前編)。

 パナソニックCNS社の社長を務める樋口泰行さんは、2019年に「男性育休100%宣言」を出し、「会社も後押ししますので、安心して育休を取得してください」というメッセージを社内に発信。さらに、子どもが1歳になるまでに、育児のために合計2週間以上の休暇(利用する制度の種類は問わない)を取得することを社内KPIとして設定した

 2017年度の男性育休取得率(10日以上)は12.2% だった。それが、2020年度 55.4%に。「1日以上の取得」で見ると、2019年度の49.2%から2020年度は90.2%にまで増加している。男性育休取得率を上げるためにどのような施策を実施したのだろうか。

 同社は、経営戦略として「カルチャー& マインド改革」に取り組んできた。「働き方改革」「コンプライアンス」「ダイバーシティ」の3本柱からなり、大企業にありがちな「長時間労働」「上意下達マネジメント」「過去の成功体験への固執」などを変えるのが狙いだ。男性育休取得の推進は、その一環として位置づけられている。