早くから女性活躍推進に取り組み、2015年には女性管理職(部長代理以上)の比率3割を達成した、総合広告代理店「DACグループ」。同社の両立施策について、前編 ・後編に分けてお届けする。後編では、育休から職場復帰した第1号のパイオニア的存在で、現在は人事部執行役員兼ダイバーシティ推進室室長を務める女性社員らに登場いただき、同社の両立施策のターニングポイントなどについて教えてもらった。かつては“不夜城”と称された企業が20年かけて成し遂げたこととは。
「孫の面倒は私が見るからあなたは辞めないで」と仕事を辞めた母
「私が出産した当時は制度もまだまだほとんど整っていませんでした。私は育休を取得後、職場復帰した第1号社員でした」
川﨑恭子さん(DACグループ管理本部人事部執行役員兼ダイバーシティ推進室室長)が入社した1998年当時、女性社員は1割程度しかいなかった。それが今や、グループ全体では、女性社員が51~52%と、男性を上回る。早くから女性活躍推進に着手し、女性管理職(課長以上)の比率は、2009年に32%に達し、内閣府が2020年の達成を掲げる目標値は早々に超えた。2015年には女性管理職(部長代理以上)の比率3割も達成した。
そんななか、パイオニア的存在である川崎さんは、現在大学生になる子ども二人を育てながら同社の女性活躍推進や両立制度の整備などに関わってきた。「うちの子どもたちが小さい頃は、制度は整っていませんでしたが、当時あった土曜日出勤を特別に免除してもらうなどいろいろ優遇してもらって何とか続けてきました。感謝の気持ちはいっぱいですが、一方で『子どもがいるから特別』なのが申し訳なくやりづらかった面もあります」と川﨑さんは振り返る。
当時は営業職だった川﨑さん。「次男がぜんそくになり、生後半年~2歳まで、年5回も入院が必要な症状でした。復帰を半年延ばしてもらったものの、もうこれは続けられない、仕事を辞めようと思いました」。それを川﨑さんが自分の母親に伝えると母親は「今辞めたら、子どもが逆にかわいそう。自分のために親が何かを諦めたと知ったら、将来悲しむと思う」とアドバイスしたという。
川﨑さんの母親は出版社に勤め、深夜まで働くことも少なくない“仕事人間”だった。当時まだ現役でバリバリ働いていたが、「私はもう会社員としての先も短いし、それなら私が会社を辞めて孫の面倒を見るからあなたは辞めないで」と会社を辞めてくれた。

次ページから読める内容
- 北欧視察で日本と世界の「ダイバーシティ」の違いを認識
- 海外からでも交通費は会社持ちの「仕事参観日」
- 社員がリレー方式で7大陸の7つの最高峰を登頂
- 効率的に働いても世の中に受け入れられる事業でなければ意味がない
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