パソコンやプリンターを製造・販売する米国系企業の日本HPは、2015年に親会社であるヒューレット・パッカードが分社したことに伴い、設立され、新たな組織としてダイバーシティ推進を加速させてきた。場所と時間にとらわれない柔軟で自律的な働き方を推進し、生産性の向上を目指す中、仕事と子育てを両立しやすい環境の整備にも力を入れる。同社の男性社員たちが冗談で「妻に働いてもらうならうちの会社」と話す理由とは? 【中編】では、同社で2人目に育児休暇を取得した男性社員で、3歳 の女の子のパパでもある岡﨑和行さんにご登場いただく。

<日本HP取材リポート>
【上】 ママ管理職 部下の妻の視点に立てるのが強み
【中】 毎朝食と週末主夫こなす日本HPのパパ社員 ←今回はココ
【下】 両立しやすい社内風土、地道なアナログ手法で醸成

女性が復帰する時、サポートが手薄になりがち

パーソナルシステムズ事業本部クライアントビジネス本部モバイルビジネス部 プロダクトマネージャーの岡﨑和行さん

 日本HPには、男性社員が育休を取る場合、14日以上20日未満であれば給与を補償する(休職による減額分を全額補てんする)短期育休制度がある。会社として男性社員にも育休を取ることを奨励してきたことで、年々男性社員の育休取得者は増えてきているという。モバイルビジネス部でプロダクトマネージャーを務める岡﨑和行さんは、この制度を利用して育休を取得した同社2人目の男性だ。

 「妻が職場復帰するタイミングで、2016年11月に2週間、育休を取得しました」。いつになるか分からない出産前後に育休を取るよりも計画が立てやすく、そのタイミングのほうが妻にとってもメリットが大きいと考えたと話す岡﨑さん。

 「出産直後は実家など周囲のサポートが受けやすいものですが、産後の女性が職場復帰するタイミングって、意外にサポートが手薄になりがちだな、と思ったんです。長期間休んだ後に、職場に復帰するのって結構大変。僕自身も夏休みで1週間仕事を休むだけで、復帰後はバタつきます。妻は1年以上育休を取っていました。1年以上も休むと、職場のメンバーが代わっていたり、仕組みが変更になっていたりして、そこに追いつくだけで精いっぱいになると思うんです。子どもも、それまでは母とべったり過ごしていたのに急に環境が変わることになるので、生活のリズムが崩れやすくなるのではと考えました」

 実際にそのタイミングで育休を取得して、奥さんも喜んでくれた。「その期間は送り迎えから掃除洗濯、食事作りまで、すべての家事を引き受けました」

家事はもともと自然に身に付いていた

 妻の職場復帰のタイミングで2週間、すべての家事を引き受けたという岡﨑さん。苦労はなかったのだろうか。

 「この人に任せたらダメだというふうに妻に思われたくなかったので頑張りました。それに、僕はもともとキレイ好きということもあり、掃除も好きなほうなんです」

  通常、パパにとっては一番の関門とも思われがちな料理も、岡﨑さんは難なくこなしたようだ。

「実は調理師の免許を持っていて。学生時代にレストランの厨房でアルバイトをしていた時についでに取っていたのです。世間一般のママさんたちのようなおいしい家庭料理が作れるわけではありませんが、レシピを見ながら食材を切る、炒める、煮るなどの基本的なことはできます」

 謙遜して話すが、調理師の免許を取得しようと思う時点で、料理好きだということがうかがえる。一線で活躍するビジネスパーソンでありながら、もともと高い家事スキルも持ち合わせているとは、家事に四苦八苦する世の共働きパパたちから「ずるい」と悲鳴が上がりそうだ。

  「父が転勤族で、単身赴任をしていたんですが、大学進学後ほどなくしてのタイミングで母が父のもとに行ってしまい、姉と二人暮らしになったんです。そのうち姉も出て行ってしまって、一人暮らしになりました。学生時代に実家を任され、家事をしなければいけない環境にいたというのも影響していると思います」。