「第二領域」とは、「緊急ではないが重要である」事柄を指す。同社の行動規範には、「緊急ではないが重要である社内コミュニケーション、準備や計画、自己啓発、権限委譲、健康維持、読書などに意識をして時間をとります」と定義され、「第二領域に取り組みます」とされている。

 「土日はどこも混みますよね。それなら平日に行って、勤務扱い、出社扱いにしよう、ということになりました。チームワーク強化のために、チームビルディング研修などを業務時間に導入している企業はよくあると思いますが、同じように研修という位置付けにしてしまいました。社員が4人以上集まって、レクリエーションを企画して申請すれば利用できます」(中村さん)

 そのレクリエーションの間に、イノベーションのアイデアを話し合い、その報告を写真付きで、Slackの専用チャンネルに上げることがルール。だが、下司さんはこう付け加える。

 「もしかして実際に有効なイノベーションのアイデアが生まれなくても、この取り組みをすることでコミュ二ケーションは強くなります。『あの人は、これが好き、嫌い』『あの人はこんな感じの人』などスタッフ同士がお互いをよく理解すると、仕事を円滑に依頼し合えて、スムーズに事が進み、結果的に業務にプラスの方向に反映されるというメリットがあります。強制参加ではないですが、一部でもそうやって仲のいい人たちが出てくると社内全体にいい効果が波及します」

 働き方改革は、つまるところコミュニケーション改革だともいわれる。同社は、常識にとらわれないアイデアに基づき、さまざまなツールを駆使し、それを実践している。

自立した存在として、会社と自分がいい関係を築く

 既成の「研修」と異なり、自分たちが本当にやりたいことをできるのも、この制度の魅力だ。「やりたいことを我慢して仕事をしなくてはならないと、仕事が嫌いになったり、仕事にネガティブな感覚を持ってしまったりします。するとパフォーマンスは落ちてしまう。『自分はこれがしたい』というモチベーションが、パフォーマンスを最大にできる働き方につながると私は思います」(中村さん)

 「『この会社にいられてよかった』ではなく、あくまでも自立した存在として、会社と自分がいい関係を築き、自分がいい人生を生きていると日々思えることが大切。今後、会社の規模が拡大したとしても、今のカルチャーを維持するように工夫したいですね」(中村さん)

プリンシプルの主な両立支援施策

  • 【リモートワーク】社員は原則週1回利用可能。子どもの看病や家庭の都合など特別な場合は、それ以上も承認される。コミュニケーション手段としてSlackを導入。ビデオ会議ツールとしてzoomやHangouts Meetを採用。紙資料は使用せず、GoogleAppのスプレッドシートやプレゼンテーションツールにて全社共有。クラウドで情報の全社共有を徹底。週1回と月末の経営陣からの報告、社長メッセージなどもSlackおよびイントラに掲載、動画録画のうえ当日YouTubeにアップしURLも併せてLive参加できなかった人に通知される仕組み。視聴した人、読んだ人は既読チェックを入れるルールを徹底
  • 【アーリーバード】朝5時からの勤務も可能。早い時間から仕事をし、早く帰ることができる
  • 【one on one】育休復帰前に、所属上司と社長との面談を実施。保活状況を確認し、育休前の働き方に戻すか、新しい就業時間、雇用形態に変更するのがよいか、可能となる形を協議して復帰をサポート
  • 【スーパーリモート制度】最大5日間の有休と、最大5日間のリモートワークを連続して取れる(1年に1回のみ取得可)
  • 【ファミリーデイ】年2回、社員の家族を職場に招く
  • 【企業理念】企業理念を大切にし、毎日朝会で社員が唱和、理念にひもづく本人のエピソードを1分間スピーチし発表

取材・文/小林浩子(日経DUAL編集部) 写真/鈴木愛子