リモートワークはもちろん、副業や複業、起業も可能で「自由過ぎる企業」として知られるガイアックス。「フリー・フラット・オープン」を掲げる同社の働き方について紹介する。登場するのは、新卒で同社に入社し、4人の子どもを育てるパパ社員。「以前はもっと普通の会社だった」という同社の大きな変化は、個人のライフプランにどんな影響を与えたのだろうか。

2016年には全社的なリモートワークの提案が却下されたが……

 ソーシャルメディアサービス事業などを手掛けるガイアックスでブランドマネージャーを務める木村智浩さんは、1週間毎日出社することもあれば、リモートワークを利用して、1日も出社しないこともある。「社員全体を1日あたりで平均して見ると、半数ぐらいは出社していない感じです」

 2004年に同社に新卒入社した木村さんは現在、0歳~小3の4人の子どものパパでもある。「以前はもっと普通の会社でした。一番上の子どもが生まれた2010年当時は、朝8時半から自分たちでオフィスの清掃をして、9時からみんなで朝礼をしていました。独身時代はいいカルチャーだと思っていましたが、やはり子どもができたらなかなか厳しいルールで『ルンバにやらせようよ』と正直思っていました(笑)」

 木村さんは2016年に経営会議で全社的なリモートワークを提案した。「当時から、営業先に直行する、子どもの具合がよくないなど理由があるリモートワークには理解がありましたが、そのときは提案は却下されました。その後、一部署で積極的にリモートワークをする取り組みがなされたところ、離職率が低下し、社員の満足度が上がり、売り上げも倍増するという成功事例が出て、一気に全社的に推進する流れになりました。まず、成功事例を出すことが大事だと思います

 また、流れが加速した背景には、2017年1月の本社移転も大きく影響したと木村さんは説明する。同社は、新しい本社ビル「Nagatacho GRiD」を「コミュニティビル」と位置付け、一般にオフィスを開放している。

 「以前のオフィスでもフリーアドレスでしたが、なんとなくチームごとに座る習慣がありました。GRiDに引っ越した当初は、弊社専用のオフィススペースもあったのですが、そこに席を確保したうえで、ほかの場所にも座って2席占有してしまう人が出てきたので、専用スペースをほぼなくしました。現在、経理業務担当など一部の社員は個室で仕事していますが、それ以外は、基本的に弊社専用のスペースはありません」。社員は、GRiD内の思い思いの場所で、社内・外の人と隣り合って仕事をしている。

 その結果、大きな変化が起きた。

ガイアックスのブランドマネージャーの木村智浩さん
ガイアックスのブランドマネージャーの木村智浩さん