大正時代から育児用ミルクを作り続けてきた森永乳業。同社が取り組んでいるさまざまな人事施策を紹介した上編に続き、下編では、それらの制度を上手に活用して育児との両立をこなす研究者パパの和田泰明さんと、2児のママで、「イクボス」として部下のパパ社員やママ社員たちのサポートにも取り組むEC事業統括部 ECマーケティンググループ長の近藤しずきさんにご登場いただく。

<森永乳業 企業リポート>
【上編】森永乳業が働き方改革加速「1日3時間勤務」もOK
【下編】4カ月のパパ育休で子への愛情がより強まった←今回はココ

 男性育休取得率が16.7%である森永乳業の中でも、トップクラスの長さで育休を取得したのが、研究職として働く和田泰明さん(38)だ。

 和田さんは、2歳半になる男の子のパパ。別の大手食品系メーカーで研究者として勤務する妻と協力し合い、育児にも全面的にコミットしている。

森永乳業の健康栄養科学研究所(栄養機能研究グループ)に所属し、育児用ミルク等の研究開発に従事している研究職パパの和田泰明さん
森永乳業の健康栄養科学研究所(栄養機能研究グループ)に所属し、育児用ミルク等の研究開発に従事している研究職パパの和田泰明さん

 妻は、息子が生後6カ月のときに復職。すぐには保育園に入れず、そこから育児は夫である和田さんにバトンタッチ。和田さんは2018年の1月から、4月の慣らし保育が終わるまでの約4カ月間、育休を取得した。

 「妻が早く復帰したいと考えていたというのももちろんありましたが、私たち夫婦にとって、夫である私も育休を取るのはごく自然なことで、子どもを授かるずっと前からその話をしていました。私の米国駐在に妻が休職して帯同し、二人で米国に住んでいた時期が2年間あるのですが、現地で男性が育休(パタニティリーブ)を取るのが当たり前な風土が根付いているのを目の当たりにしたのも影響したかもしれません」と和田さん。4カ月の育休を取得するのに、何の迷いもなかったという。

 息子が生後半年たったところで育休を取得したのは、綿密な計算の上だと話す。

 「その頃になれば離乳食が始まります。朝、妻が息子に授乳してから出勤し、日中は私が離乳食をあげる。胸が張る前に妻が帰宅し、息子に授乳する。このリズムならちょうどいいなと考えました」。育児用ミルクや母親の健康に関わる研究を行っている和田さんならではの発想だ。