2人目復帰後、在宅勤務も入れてタイムラインを最適化

―― 2回目の育休復帰後の方をインタビューすると、「子どもが1人でも2人でも大変さはさして変わらない」とか、「大変さは倍にはならない」と聞く機会も多いのですが、2人になって変化はありますか?

大宮 子どもが1人のときよりも、がぜん大変です(笑)。

 2人の子どもがそれぞれ、いつ風邪を引くか、いつ泣き出すか、いつ何をしたいと言い出すのかがすべて予測不可能で、自分のやりたいことが思うように運ばない日常で、その分、職場でご理解いただかないといけないことも前より多くなりました。職場でも家庭でも、周りの人に感謝しっぱなしです。

 自分の業務は、ここまでやりたいというレベルに全然到達できず、いつまでにやりたいという期限も思うようにいかず、特に自分のアウトプットを待つ相手がいる場合、すごくストレスになりました。

 下の子は夜間の授乳もあるので、その授乳の合間を縫って夜間から朝方まで作業をしたこともありました。でも、その後体調を崩しかけ、その立て直しにも時間がかかったので、この生活の中で無茶をすることは良くないなと反省しました。

 今は、特に下の子の体調管理のため、それから離乳食を進めるために、週に1~2回在宅勤務をし、その日は下の子は家で見るようにしています。

 それと同時に、何かアウトプットする際のタイムラインを考え直しました。以前は期限の前に集中して作業していましたが、重要なものほど余裕を持ってスケジューリングするようにし、そこに向けては10分などの少しずつの時間でも作業時間を作り準備するようにしています。まとまった時間はなかなか取れないので。

 とにかく、自分の使える時間内で、最大のアウトプットが出せるように集中しています。時間をたくさん使えないので、仕事の量ではなかなか戦えません。考える量やアイデアでしっかり成果を出していきたいと思っています。2児の母としての日常生活の中でも、マーケティング企画をするうえでは非常に大切な感覚を養うことができていると思います。実際「おにぎり」をシンボルにするとよいのではというアイデアも、自分が母になったからこそ出せたもので、母になったことでマーケターとしては一段も二段も成長させてもらっていると感じています。

 これからも、母として、働く時間と場所に制約はありますが、できる限り考え、感じ、自分のアイデアを発信することに重きを置いて仕事をするようにしたいと思っています。

大宮さんの“お助け”人&アイテム

(1) 夫

「育児・家事をシェアするだけではなく、子どもたちの精神面の成長に伴走する一番のパートナーで、不可欠な存在です」(大宮さん)

(2) フローレンス(病児保育)

「上の子が2~3歳にかけてお世話になり、精神的にもかなり心強いサービスでした。明日子どもが発熱して会社に行けないかも……という不安が無くなり、仕事に積極的になれました。今は休会していますが、今度は下の子を、タイミングを見て入会させようと思っています。」(大宮さん)

(3) 電動自転車

車を所有していないので、1週間分の食材の買い出し、お出かけなどに自転車フル活用。下の子も乗れるようになったら、保育園の送迎でもマストアイテムになる予定とのこと。

取材後記

いつもはつらつとしていて、前向きなオーラが出ている大宮千絵さん。仕事と育児以外にも、第一子の妊娠中から夫婦の両立について考えるイベントを企画するなど、とてもパワフルです。IT業界でとても多忙な旦那さんにもかかわらず、日々の両立生活だけではなく育休まで取得してもらえたのも、諦めずに真っすぐ話し合いを重ねてきた結果。子どもと過ごす時間が増えたことで、その大変さはもちろん、とても貴重なひと時であるという感覚も夫婦で共有できたのだそうです。

上の子が小学校高学年になって思うのは、親がわが子とゆったり過ごせる時間は本当に一時しかない貴重なものであるということ。いくら仕事だからとはいえ、この特別な時間を失うなんて本当にもったいないと思います。夫婦ともに子どもとの時間を持つために、どうやって仕事をやりくりするか……、ここは常に頭が痛いところですが、思い切って引っ越しすることで時間を捻出した大宮さん夫婦のように、優先順位を忘れずに断捨離していくことも大切なのではないかと思いました。

(撮影/稲垣純也)