日本人として日本で暮らしながらブラジルの生活を!

―― ブラジリアン柔術やサッカーと、やはりブラジルの文化も考えて習い事をしているのですね。

椿 そうですね。ただ、子どもたちは日本語をベースに、日本人として育てていくという方針にしているので、名前も一つしか持っていないですし、ポルトガル語や英語はネーティブを目指すというよりも、個性として少し話せたらいいというレベルで考えています。

 基本的には、夫はポルトガル語で話しかけていて、子どもたちも聞いて理解することはできるのですが、返事は日本語でしていますね。ただ、夫の家族が滞在する間はポルトガル語で会話する機会が増えるので、その期間をうまく利用できればいいかなと思っています。

 最近、年長の上の子には英語を習わせたいと夫が言い出したのですが、夫婦とも英語が話せるのに習いに行くのもどうなのかな…と私は思っていて。「お風呂では英語を話す」とか決めて話すのはどうだろうとか、色々模索中です。あとは、年1回、10日間くらいは海外旅行に行くと決めているので、それも英語に触れる良い機会になりますし。前回グアムに行ったときは、2日間はホテルのアクティビティーに通ったのですが、本人は楽しんでいたようです。

―― 椿さん自身は、どのようにして英語とポルトガル語を習得しましたか?

椿 両親が語学を学ぶのが好きで、英語を習ったり海外旅行に行ったりしていたので、気づいた時には英語は得意だと思っていたし、身近なものでした。高1のとき、バンクーバーに短期留学したのですが、スノボにハマっていた私に「カナダまで滑りに行かない?」と母が提案してきたことがきっかけでした。別に私が行きたいと言ったわけではなく、完全にスノボにつられていった2週間でしたね(笑)。

 ちなみに、翌年は「スキューバダイビングの資格を取りに行かない?」と母が言ってきて、オーストラリアのケアンズに4週間、ホームステイしています。

 当時、コギャルだった私も、今のままじゃまずいとは思っていたので、いつか世界に羽ばたくためには英語以外にどの言語をやるのがいいか、図書館で世界地図とか図鑑を見ながら考えていました。人口とか国土の面積とか、今後どのくらい伸びそうかを考えて、中国語はライバルが多そうだな、面積は広いけどロシア以外では話されていないからロシア語じゃないな、スペイン語圏は広いけどちょっと違うなとか、あれこれ検討した結果、選んだのがブラジルだったんです。

―― 面白いですね! 中国の台頭が叫ばれていた当時、私は安易に中国語を選んでしまいましたが…。ちなみに、ブラジルに行ったことはあったんですか?

椿 ないです、ないです。でも、私でも勝てるくらい、ライバルが多くないマイナー言語じゃないとダメだと思いましたし、ブラジルは格差が大きい国だったので、今後は伸びるにちがいないと感じたことも理由でした。それで上智大学のポルトガル語学科に進学したんです(笑)。

 大学に入ってからは長期休みのたびにブラジルに飛び、貧民街に行ったり、ブラジルのテレビ局でドキュメンタリー取材をしてもらったりしていました。実際に行ってみたら、思ったよりもミゼラブルではなく、皆とてもポジティブなオーラに溢れていて大好きになりましたね。

 ただ、夫との出会いはブラジルではなく、東京のブラジル料理屋でした。家族のことは大切に思っているようですが、彼はもう東京のほうが好きみたいですね。自宅もフルリノベーションして、屋上でBBQができるようにしましたし、これからも「日本で暮らしながらもブラジルのような生活を!」を合言葉に、家族で明るく楽しく暮らしていきたいと思います!

椿さんのお助けアイテム

(1)「パワーママプロジェクト」
椿さんのパワーの源になっているというプロジェクト(ワーママコミュニティー・ワーママデータベースメディア)。等身大ワーママが実は頑張って行動しているんだということを日々知ることで、「自分ももっと動こう!」と思えるなど精神的にパワーの源になっているそうです。http://powermama.info/

(2)ポスリー(無料お手紙管理アプリ)
「紙で配られる園や習い事のスケジュール管理は、ポスリーにまとめてうっかり忘れを防いでいます。冷蔵庫にお手紙を貼っていても見ないし、見た目も美しくないので、お手紙が来たらパシャっと取って、カレンダーに入れてアラートをつけています。夫とも共有しています」(椿さん)  https://info.posly.jp/

(3)サブスクサービス多用
「買い物に行く時間が無いので、ファッション系はサブスクにシフトして1年半くらい経ちます。服はエアークローゼット(https://www.air-closet.com)、メチャカリ(https://mechakari.com/)を併用、バッグはラクサス(https://laxus.co/)を利用。何が欲しいかの情報収集時間、買い物に行く時間と、洗濯しないので洗濯回りのタスクが圧倒的に減りますよ」(椿さん)

【取材後記】

いつもポジティブなオーラに包まれている椿さん。両立生活の話を聞いていても、ブラジル人のご主人と共に温かい家庭の雰囲気が伝わってきました。夫婦の分担は得意なことや好きなことをメーンにするのが楽ですよね。わが家は、料理好きな私と掃除好きな夫なので正反対ですが、週5で完全に役割分担とまではいかないので、本当に潔いなぁと思って聞いていました。

国際結婚や帰国子女などの家庭では、子どもの言語取得についての方針も様々ですが、「日本の教育を受けさせて、日本人として育てる」とハッキリ決めたうえで、生活の中にはブラジル文化を取り入れているのもまた素敵なバランスです。

(撮影/花井智子)