学生時代に保育士の資格を取得後、私立の認可保育園に勤務。次男を出産したタイミングで退職し、単発でベビーシッターサービスを提供する「スマートシッター」のベビーシッター保育士として働いていた伊藤麻美さん。2人の息子さんが小学校に入学したことをきっかけに、再び認可保育園に戻り、現在は乳児クラスを担当しています。私たち共働き家庭が日々お世話になっている保育士さんであり、同世代の働くママ。育児と仕事を両立しながら、どんなことを感じているのか、保育士として働く醍醐味も聞いてきました。

わが子を預けて自分も保育園へ 葛藤もあった第1子の職場復帰

藤村美里さん(以下、――) 私の子どもたちも、生後半年ごろからずっと保育園にお世話になっていますが、保育士さんは、やりがいのある素晴らしいお仕事だと思います。出産後はどのような働き方を選択されていますか?

伊藤麻美さん(以下、敬称略) 上の子の出産後は、生後11カ月のわが子を0歳児クラスに預けて、自分も復帰しました。でも、あのころは本当に時間がなくて、「自分の子とこんなに関われなくて大丈夫なのだろうか」と悩んだ時期でもありました。毎日、夕方に家に帰って、お夕飯を食べて、お風呂に入って、寝るだけという生活なので、家では子どもも母親に依存してしまうというか、甘える気持ちが強くなってしまっていて。愛情不足というつもりは全くなかったのですが、子どもからは「もっとお母さんと関わりたい」という気持ちが常に出ていたのではないかなと思います。

 結局、フルタイムの保育士として育児と両立していたと言えるのは、この1年間だけです。大学卒業後から働いていた私立の認可園でしたが、その翌年の第2子妊娠と夫の両親との同居を機に退職しました。ちょうど、新卒で入ったときに0歳児クラスとして担当した子どもたちが卒園したことも、退職を決断した理由の一つです。やはり保育士として初めて担当した子どもたちには思い入れも強く、彼らの卒園までは頑張りたいという気持ちが強かったのですが、その後はわが子との時間を優先することにしました。

―― 他の人の子どもを懸命に育てる一方で、わが子と向き合う時間が十分ではないという葛藤などもあったのでしょうか?

伊藤 そうですね。保育士を目指した理由の一つは、私自身も保育園で育っていて、その先生たちが大好きだったからなのですが、一方で小学校低学年までは「寂しかった」という記憶も強く残っていて。ほとんどの親御さんが来ている中、働いている母が授業参観に来ていなかったという光景は、今でも鮮明に浮かんできます。

 年の離れた妹たちの世話も好きだったし、何より子どもが大好きで保育の仕事を選びましたが、自分の子どもたちが寂しい思いをしないように、バランスを取りながら働きたいと思っています。保育士は国家資格なので、ブランクがあっても仕事に復帰しやすいというのは、ありがたいですね。

「保育士は国家資格なので、ブランクがあっても仕事に復帰しやすいというのは、ありがたいです」(伊藤麻美さん)
「保育士は国家資格なので、ブランクがあっても仕事に復帰しやすいというのは、ありがたいです」(伊藤麻美さん)