下の子の小学校入学を機に、再び認可保育園勤務に

―― 現在は、どのような形でお仕事されていますか?

伊藤 息子たちも8歳と6歳になりました。下の子が小学校に入学したのを機に、週3回のパートタイムではありますが、以前とは違う私立の認可保育園で保育士を再開しました。義両親も夫も仕事があり、息子たちの育児も家事も私がしているため、フルタイムではなくパートタイムを選択しました。今年度は、乳児担当のフリー保育士として、主に0歳児から2歳児クラスのフォローに入っています。担任が遅番や早番でいない時間帯などには、担任の代わりをすることもあります。

―― 出産してお子さんたちを育てたこと、ベビーシッターとして働いたことで、以前と何か変化はありましたか?

伊藤 ベビーシッターでは、事前に保護者の方々と細かく面談をしたり、各家庭での子育てに対する気持ちなどを丁寧に聞いたりしてから保育に入る、という経験をしました。保育園は様々なご家族のお子さんたちが通ってきていますが、シッター時代の経験を生かして、保護者の方と積極的に話をしたり、連絡帳を通して、できるだけ細かくやり取りをしたりして、保護者と子どもたちに寄り添うことで、安心して保育園が利用できるように日々努力しています。

 6歳の下の子がもう少し大きくなったら、再びフルタイムの正社員として、保育園で働きたいと思っています。今はまだ具体的なビジョンはないですが、どんな形であれ、これからもずっと子どもに関わる仕事に携わりたいですね。そして、子どもについての専門知識をもっと身に付けたいという気持ちから、今も勉強は続けています。今までの経験と結びつけて、時代のニーズに合った新しい発想を持っていたいと考えています。

 最近は、保育園不足や保育士の人材不足が社会的にも大きな問題になっていますが、幼児期の保育や教育というのは人間の土台となる本当に大切なもの。小さい力ではありますが、私も保育の仕事を続けながら、幼児教育が社会的にもっと重要視されるように発信していきたいと思っています。

保育士さんならではの“育児”お助けアイテム

(1)手作りおもちゃ
「『R-1ドリンク』などの小さめのペットボトルが、赤ちゃんでも持ちやすくておすすめです。その中に百均などで売っているビーズや色水を入れるだけでとてもよく遊べます」(伊藤さん)

(2)音の出る絵本や小さな図鑑のような絵本
「様々な絵を見るだけで保護者の方との会話も広がり、また言葉の習得にもつながると思います」(伊藤さん)

(3)情報収集できるインターネットやSNS
「今の時代はスマホで何でもできるので、うまく活用してまねしてみるのもおすすめです! “子育てグッズ 手作り”“玩具 手作り”で検索すると簡単に自作できるものがたくさん出てきます」(伊藤さん)

【取材後記】

穏やかでおっとりとした話し方の中に、屈強な意志が見える伊藤さん。ポツリポツリと語る言葉の節々に子どもたちへの愛情が溢れていて、「あぁ保育士が天職の方なのだな」と感じました。

お父さん・お母さんが安心して我が子を預けられるように、と積極的なコミュニケーションを心掛けるのは、ご自身が葛藤しながら働くママの一人であるからこそ。保育と育児は違うという言葉はもっともで、だからこそ「質を保ったうえで、誰もが利用できる保育制度」を実現することで、母親が孤立せず、追い込まれない社会を作ることができるのではないかと思いました。

(撮影/鈴木愛子)