子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺う連載です。

 第15回は、妊娠・出産に関する職場でのトラブルについて。分煙化されていない職場で、妊婦の前で上司がタバコ…それって許されるの? また男性の育休を取らせてもらえないって違法になる? 知っておきたいマタハラ、パタハラなどについて、弁護士さんに聞きました。

CASE1 分煙化が進んでおらず、上司のタバコがつらい。マタハラになる?

  妊婦です。小さな事務所で働いているため、分煙化などが進んでおらず、所長のタバコがつらいです。やめてほしいと何気なく言ったのですが、聞き入れてもらえません。もし私が体調を崩しても、タバコってマタハラになったりしないのでしょうか。仕事を辞めるしかないですか。

 マタニティー・ハラスメント、いわゆる「マタハラ」とは、妊娠・出産などをきっかけとして、会社が従業員に対して解雇や降格などの不利益な取り扱いをすることをいいます。しかし、それだけではなく、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントも含まれます。

 ご相談者様の状況は、妊婦の前でタバコを吸うということは妊婦に対する肉体的な攻撃にもつながります。すなわち、マタハラに当たるといえるでしょう。

 男女雇用機会均等法においては、妊婦に対して不利益な取り扱いをすることを禁止しています。この場合の不利益な取り扱いとは様々ありますが、厚生労働省の告示によると、就業環境を害することも含まれます。所長がタバコをどのような状況でどのような場所で吸っているかにもよりますが、場合によっては、就業環境を害するものとしてみなされ、法律違反といえるかもしれません。

 お仕事を辞める前に、まずは弁護士などにご相談されてみてはいかがでしょうか。