相談なく夫が時短を取得し、収入が激減。辞めたくても辞められない悪循環に

 以前は100パーセント私がお迎え担当でした。私だってたまにヨガに行きたい、髪を切りに行きたい、と夫に言い続けたら、週に1度夫がお迎えを担当してくれるようになりました。

 後から分かったことなのですが、夫がそのために時短勤務に切り替えていたんです。夫の仕事はハードで働き方改革とは無縁、かつ上司の理解もない部署。通勤時間も長いので、家族と過ごせる時間が少なかった。私に色々言われてやむを得ず時短勤務に切り替えた結果、夫の会社での評価は下がり、給料も大幅に下がってしまいました。

 そんな事態になるなら事前に相談してくれればよかったのに、と思ったのですが、夫もこんなに給料が下がると思っていなかったみたいで。とりあえずローンの支払いなど、自分の中でやりくりができる範囲だったので黙っていたようです。

写真はイメージです
写真はイメージです

 今は、私の収入のほうが夫を上回っている状態です。夫は「自分が専業主夫になってもいい」と言うこともあるのですが、私にその覚悟がありません。またいつ部署が統合されるなどして、Aさんと一緒に働くことになるのか分かりません。そうなったら、私は働き続けることができるのか、不安です。彼女が自分の上司になることが嫌というよりも、私の働き方を許さないんじゃないかという怖さがあります。

転職をしたくても、いまの働き方を変える自信がない

 転職を考えたことがないわけではありません。以前は課長として社内でも一目置かれていたのですが、新しい社員も増え、そもそも私が課長だったことを知らない人も増えています。年齢が高めという疎外感もあり、完全にマミートラックに乗ってしまったことを認識しています。

 でも、色々な損得を考えると、この会社にいたほうがいいと思っています。入社して15年ほど経つし、仲のいい同僚もいます。転職したいと思っても、いまのセーブした働き方を変える自信もありません。いまだに大きな仕事ややりがいのある仕事を打診されても、「私はいいです、他の人にお願いします」となってしまうんです。

 もしも転職したら、それが起爆剤になって前のような働き方に戻れるかもしれませんが、仕事は確実に忙しくなります。今はかなり省エネで働いている自覚があるので、今のバランスを崩したくないです。

 キャラクターの企画は終わりがない仕事なので、以前は納得がいくまで、持ち帰って仕事をしていたこともありましたが、いまは会社にいる時間で終わらせるようにしています。若い頃は企画案を何通りも出していましたが、いまは「1案でいいでしょう」と、ベテランの貫禄を出して乗り切っています。本当は何案も出したい、という思いはある。でも、時代も変わり、仕事は時間をかけないほうがかっこいい、という流れがきているので、「時代に合った働き方をしている」と思うようにして割り切っています

子どもが巣立った後に残るのは仕事だけ

 メンタルのこともあり、今はゆるゆると仕事していますが、子どももいつまでも一緒にいてくれるわけではありません。子どもはもうすぐ小学校に入学しますが、男の子は小学校3年生くらいには巣立っていく、と先輩ママに聞きました。

 そうなったときに、自分の心のすき間を埋めるのは仕事だけかもしれない、と漠然と思っています。以前のように仕事に没頭できるかわかりませんが、いつかモードチェンジする日がくるかもしれません。

(取材/編集部 構成/平野友紀子 写真/鈴木愛子)