子どもが生まれるまでは、仕事に目いっぱい没頭できた。産休・育休中は、育児に専念することができた。それが……いざ仕事復帰をすると、仕事と育児の両方が日々降り掛かってくる。時間は同じ、一日24時間。どちらも大事、どちらも最優先。そんなとき、皆さんは何を選び、何を諦めているのでしょうか。

 バリバリでもゆるゆるでもない働き方のワーママに、リアルな体験、心の内を語ってもらいます。

 今回、お話を伺ったのは目黒区在住のA.Eさん。キャラクタービジネスを行う会社の企画部に勤め、社長からも実力を認められていたA.Eさんは、第1子出産後に昇進。課長として活躍していましたが、年上の女性部下からの逆パワハラに遭い、メンタルが悪化。やむなく休職をしました。出産後、A.Eさんが感じ続けてきたもやもやや、働き方の変遷について語っていただきました。上編、下編の2回に分けてお伝えします。

(上)年上部下からのストレス はけ口が子どもに ←今回はココ
(下)休職中に降格告げられ号泣 悔しさから復職を決意

【今回のワーママ】A.Eさん

年齢:45歳
業種(職種):キャラクター企画
住まい:東京都目黒区
子どもの年齢:6歳(男の子) 39歳で出産

●仕事と育児をしていくために、私が選んだもの、諦めたもの
選んだもの… 家族と過ごす時間
諦めたもの… 第一線で活躍すること

共働き家庭に育ち、専業主婦という選択肢は皆無だったが‥

 母親は大手企業の地方の営業所で、正社員の事務職として定年まで働いていました。働く母に育てられた影響で、幼いころから「自分も将来は同じように仕事を持つのだろう」と思いながら育ち、自分の中に専業主婦という選択肢は一切ありませんでした。今はむしろ、なれるものなら専業主婦になりたいと、あこがれています

 新卒でキャラクタービジネスの会社に入り、社内の花形である企画職に配属。深夜残業も多く、毎日23時頃帰宅する毎日でした。仕事には誇りを持っていたものの、ぼんやりと、「この先、子どもが生まれたらこんなペースで働き続けることはできない」と感じていました。26歳のとき、学生の頃からお付き合いしていた今の夫と結婚したのを機に、本格的に転職活動を始めました。

 転職先は、ジャンルは少し異なるものの、前職と同じキャラクタービジネスの会社でした。業績も好調で、面接官の人当りも良く、社員を大事にしそうな会社という印象を受けたので入社を決めましたが、バラ色に見えたその会社は、いわゆるブラック企業。入ってみると仕事内容も聞いていた話とは違うし、残業代が出ないのに残業をどんどんやらされました。このままではいいように使われて捨てられると感じ、半年ほどで退職しました。

仕事に没頭した30代前半を経て、35歳から不妊治療を開始

 その後、30歳目前で入社したのが今いる会社です。誰もが名前を知っているような大手企業で、仕事のスケールもこれまでの会社と比較にならないほど大きい。ようやく理想の仕事環境を手に入れられたと思った私は、「とにかく成果を出して認めてもらわなければ」、と仕事に没頭しました。当時の社長はワンマンでしたが、社員との距離も近く、私の仕事ぶりをよく見て評価してくれたこともあり、なおさら頑張りました。

 そのため、転職してすぐに妊娠・出産をして会社を離れることに抵抗があり、30代前半はいまいち妊娠について前向きに考えられずにいました。夫も夫の両親ものんびりとした性格だったので、特に何も言われませんでした。私の両親からは「早くしないと産めなくなる」とプレッシャーをかけられましたが「うるさい」とはねのけていました。

 36歳を過ぎて、そろそろ年齢的にも子どもが欲しいと思い、子づくりを決意。けれど、なかなか思ったようにはいかず、不妊治療をはじめました。会社の定時が17時だったため、会社が終わってすぐに病院へ通う生活を続け、ようやく38歳の終わりに子どもを授かりました。

写真はイメージです
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