子どもが生まれるまでは、仕事に目いっぱい没頭できた。産休・育休中は、育児に専念することができた。それが……いざ仕事復帰をすると、仕事と育児の両方が日々降り掛かってくる。時間は同じ、一日24時間。どちらも大事、どちらも最優先。そんなとき、皆さんは何を選び、何を諦めているのでしょうか。

 バリバリでもゆるゆるでもない働き方のワーママに、リアルな体験、心の内を語ってもらいます。

 今回、お話を聞いたのはさいたま市在住の岡本彩さん。岡本さんは新卒一期生として入社した会社で、まだ前例の少なかった産休・育休を取得しました。切迫早産・切迫流産による自宅安静と入院を経て、壮絶な出産経験、そして産後の不調…。それを乗り越え、会社で「これがライフワーク」と思える仕事を見つけるまでの、岡本さんが感じてきた「もやもや」と「夢」を紹介します。

【今回のワーママ】岡本彩さん

年齢:34歳
業種(職種):マーキュロップ正社員
住まい:さいたま市
子どもの年齢:2歳

●仕事と育児をしていくために、私が選んだもの、諦めたもの
選んだもの… 感謝や信頼の気持ち、超プラス思考、4時半起きの朝型生活
諦めたもの… 理想の追求、あれもこれもやり尽くそうとする気持ち

妊娠してつわり、切迫早産と出社できない日々が続く

 新卒一期生として、ウォーターサーバーの会社マーキュロップに入社しました。当時、会社は3年目。入社直後から色々な仕事を任され、営業、販売促進、広告、商品開発など、幅広い職種を経験しました。大学では美術専攻だったこともあり、「0(ゼロ)から何かをつくる」ということが大好き。仕事でも、それを自分の信念にして頑張りました。

 マーキュロップはウォーターサーバーを家庭向けにレンタルしています。以前は商社を通じて輸入していたウォーターサーバーを、直輸入に切り替えることにしたとき、まだ若手社員だった私がその一連の交渉を担当することになりました。メーカーのある韓国に行って取引先を当たったり、貿易や送金の仕組みを整えたり。国が違えば商習慣も違うので、契約書を一つまとめてもらうことにも交渉が必要。会社として前例がないことでしたが、粘り強く取り組みました。若手でもこのような経験ができるのは中堅・ベンチャー企業ならではだと思っています。

 仕事はとても充実していました。そのうち結婚し、しばらくして妊娠が分かったのですが、妊娠直後からつわりで思うように出社できない日々が続きました。やっと安定期に入りつわりが落ち着き「これから産休に入るまで、徐々に引き継ぎをしていきます!」と宣言した数日後。今度は切迫流産で自宅安静指示が出ました。引き継ぎが全くできていなかったので、自宅でも携帯を手に社内からの質疑応答に対応し、ベッドに寝た姿勢のままスカイプ会議に参加しました。

 そのまま切迫早産になり、産後まで出社することは難しそうだったので、体調が少し落ち着いている間に、里帰り出産する予定の北海道へ移動しました。

 実家に戻ると家事をしなくてよくなったので、その分、余裕が出てきました。もともと休んでいるのは性に合わず、仕事が好き。このプロジェクトはあと少しで終わるからやり遂げたいなと、1回連続15分まで、一日合計何時間までと自分なりに制限を決めて少し仕事をしたり、育児書をネットで購入して読んだりして過ごしていました。しかし、「体調も安定しているし大丈夫かな?」という油断もあったのかもしれません。切迫早産であることは伝えた上で、年1回の健康診断を近所の病院で受け、今日はちょっと歩き回ってしまったかなと思った翌日でした。予定日の3カ月前に管理入院となってしまい、そこからはいよいよ仕事からも離れる日々となりました。

マーキュロップ 岡本彩さん
マーキュロップ 岡本彩さん