社長が勧めてくれた人材育成の仕事

 復帰に当たっては上司に当たる社長と面談をしました。これまでやっていた仕事を引き続き担当する、という選択肢もあったと思いますが、社長から提案されたのが人材育成に関する仕事でした。翌年、10年ぶりの新卒採用を予定していたため、採用から研修までを新卒一期生である私が引き受けることに。お客様がいて、その日の間に対応をしなければならない、という性質の仕事ではなく、何かあって出社できない日があっても後にリカバリーしやすい仕事であるということも、社長からの提案の理由でした。柔軟に仕事内容や働き方を考えてくれた社長には感謝しています。

 今年4月に新卒3人が入社し、採用や育成を担当しています。社内に人材育成の仕組みはなかったので、ゼロからつくることに。私が信条とすることです。3~4月上旬はその業務にかかりきりになり、保育園の延長保育を月単位に変更したり、食事は作り置きなどで乗り切りました。新卒など後輩社員に対しては、「若手でもどんどん挑戦する環境や文化」をつないでいきたい、と考えています。

 仕事は好きでやりたいことがたくさんありますが、とことん追求してしまう性格なので、優先順位を付けて取捨選択することを心がけています。余裕がなくなると育児に影響が出てしまったり、夫婦関係もギスギスしてしまったりするので……。

 今、目標にしていることは「強く生きる」ということです。産前産後の苦しんだ経験や葛藤を経て、「いつでも強く平静でありたい」と思っています。

 キャリアに関しては、子育てや人材育成の仕事を通じて、「人の成長に関わること」が自分のライフワークなのではないか、という思いを強くしています。学生時代から大事にしてきた「ゼロからつくる」という信念も、今でも持っています。変化を楽しみながら、これからも子育てと仕事を両立していきたいです。

(取材・文/日経DUAL編集部)