「今が一番幸せなときね」に「何が幸せ?」 限界だった産後

 妊娠後期は少しでも生まれるのを先延ばしにするため、筋弛緩剤を使用。意識がもうろうとして会話もほぼできず、1日中眠っているような状態でした。そして出産自体も難産で吸引分娩をするなど、壮絶でした。

 2カ月の入院と出産で、すっかり体力が落ちてしまい、産後しばらくは、しゃがんだら立ち上がれないような状態でした。医師からは少し長めに入院することを勧められましたが、退院するタイミングに合わせて夫が東京から北海道に来ることが決まっていたので、再調整する負担を考えてしまい、予定通り退院することにしました。でも、やはりその後はつらかった。今思えば、医師の言うことを素直に聞いてもよかったかなと思います。

 妊娠中からずっと続いた自宅安静や入院によりダメージを負い、本来もっていた前向きな気持ちが失われていました。病院を訪れた親世代の女性が、赤ちゃんを抱っこしている私を見て、「あら~、かわいい。今が一番幸せなときね」と声をかけてくれました。でも私は、それを素直に受け入れられなかった。「出産前も出産時もこんなにつらい思いをして、なにが幸せ?」と感じていました。今思えば、産後のホルモンバランスの影響を大きく受け続け、対処方法が見当たらずに困っている状態でした。

 産後は2カ月ほど実家にいて、母が至れり尽くせりで面倒を見てくれました。ただ母も決して若くはありません。負担をかけていることは感じていて、その母を心配する父を見ることもつらくなってしまいました。

 今思えば、産後うつ傾向があったのかもしれません。2カ月後にいったん東京に戻り、夫と私、二人での子育てがスタートしました。2800gで生まれた娘ですが、抱っこするだけで腕が筋肉痛になり、自分自身がお風呂に入ったときは、お風呂から上がるのも一苦労、というほどの体力低下っぷりでした。

 そこからの2カ月は目の前の子育てに精一杯で、あまり記憶にありません(笑)。ただ、今まで自分ができていたことができなくなってしまい、色々なことへの自信も失い気味でした。

写真はイメージです
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