憧れの企業にダメ元でアタック

 この先どうするか悩んでいた時期に、友人とダーツライブというダーツのマシンメーカーが主催するダーツ大会を見に行く機会がありました。観戦した際のものすごい興奮と感激は今でも覚えているほどです。

 というのも私は大のダーツ好きで、学生時代から心底ダーツにハマっていたんです。ダーツは個人競技なので一見黙々と投げているだけですが、プレイ中、心の内では「さっきのあのミスがなければもっとレベルが上がったのに」など、色々な思いが芽生えるのが面白いのです。

 さらにいくつかの会社のダーツマシンがあるなかで、特に好きだったのがダーツライブのマシンでした。当時ダーツライブのマシンはネットワークでつながっているのが特徴で、プレイの成績が数値で出てくるなど、メンタル面を盛り上げる仕掛けが施されていました。

 新卒のときはダーツメーカーはダーツのマシンを作っているだけだと思い込んでいたので、自分が勤めようとは考えなかったのですが、その後、ダーツライブが発行するフリーペーパーを目にしたり、イベントを主催することを知ったりするなかで、自分にもできることがあるのではと思うようになったんです。

 ダーツライブの採用をチェックすると、中途募集があったのはプログラマー職やSE職だけ。でもダーツライブで働きたいという思いを諦めることができず、会社に直接手紙を書いたんです。そうしたら、なんと人事から連絡が来て、面接してもらえることになって。こうして晴れて憧れのダーツライブに入社することになりました。

 ダーツライブで担当したのはコンテンツ制作や宣伝プロモーション。大好きだったブランドの発信サイドになれたことがうれしくて、「本当に私でいいの?!」という感覚でしたね。ユーザーサイドにいたときには見えなかった、サービスのからくりや運用の苦労を知ることで、ますますブランドに対する愛情が湧いていくのと同時に、どんどん仕事を任せてもらえる環境もとてもうれしかったです。

 自分が立てた企画が形になり、その結果が数字になって表れるという、個人の力では経験できない仕事を、組織の力で経験できることに、とてつもない充実感を覚えていました。尊敬できる上司にも恵まれて、トライ&エラーするなか、日々すごく吸収できているという実感から、仕事をする悦びに浸っていました。

 こうした生活が3年半くらい続いたころ、会社から異動辞令が出て、これまで力を注いできたプロモーションとは全く異なる部署への配属になりました。