夢を決めてから、苦手だった勉強が…

 夢シートに「いま好きなことや得意なこと」と「将来の夢」を子どもたちが書き終えたところで、安永聡太郎さんの夢トークが再開する。

 「やっさんは、小学校6年生のときにプロのサッカー選手になりたいという夢を見つけました。夢を見つけて、『こうするんだ!』とか『オレはこうなる!』『プロのサッカー選手になるんだ!』と決めたやっさんが、まず、最初にどういうことをしていったのかという話をします」

 勉強嫌いな安永少年は変わった。

 「やっさんは、勉強はあまりしませんでした。でも、5年生の夏以降はシッカリと勉強するようになった。なぜか。それは、サッカーが大好きになったから。やっさんの小学校では、宿題を忘れると、残されて宿題をやらされるのよ。で、先生はどこかに行ってしまって、いつ戻ってくるのか分からない。ヘタすると、2時間くらい放っておかれることもある(笑)。そうなると、2時間もサッカーができないことになるよね。大好きなサッカーが2時間もできないなんて嫌だから、宿題は絶対に忘れないようにしようと決めた

 ところが、練習で疲れたときには、眠気に襲われて宿題ができない日もあった。

 「練習をいっぱいやって家に帰って、お風呂に入ってご飯を食べたら眠くなって寝ちゃうんだね(笑)。『どうしよう?』って、やっさんは考えた。『よし! 授業を100%全力で集中して聞こう!』と。あと、宿題が出たら学校にいる間にやっちゃおうと決めた。やっさんの学校では学校で宿題やっても大丈夫だったから、休み時間に遊びに出るのを我慢してブワーっとやった。あの勉強嫌いのジャイアンが、休み時間になると机に向かって宿題をやっている(笑)。だって、サッカーやりたいんだもん」

 勉強はずっと苦手だった安永さんは、こう振り返る。

 「今とは学校の通知表が違うけど、やっさんのときは5年生の夏までは5段階評価で2か3ばかりだった。5が『すごく良い』で、4が『まあまあ良い』、3が『普通』で2は『もうちょっと頑張りましょう』、1が『もっともっと頑張りましょう』なんだけどね。体育だけは5だったけど、音楽と図工が3で、それ以外は全部、2だった(笑)。だから、ほとんどが頑張りましょうだったんだね」

 それが、このころを境にして成績が急上昇したという。

 「ところが、5年生の2学期以降は、音楽だけ4で、あとは全部5に変わった。スゴいだろ!? 今までやらなかっただけで、やればデキるわけ。それは、みんなも一緒だよね。ジャイアンができるんだからみんなもできるはず。やるか、やらないかなわけだね」

 「やり続けていると、自分が苦手だなあって思っていることでも、何となくコツがつかめたりするようになる。例えば、逆上がり。できないのは、コツが分からないだけ。どこでどうバランスを取って力を入れたらいいのか分からないだけ。コツが分かったら、逆上がりなんてグルグルできるようになるでしょ? それと一緒。やっさんは勉強が苦手だったけど、コツがわかってからどんどん得意になっていったんだね」

 ――プロサッカー選手になるという夢を見つけたやっさん少年は、どのように夢に向かっていったのか。夢トークは後編に続きます。

(取材・文/國尾一樹)