この疲れ、本当はリウマチが潜んでいない?

 ただ問題は、関節リウマチの初期症状は非常に自覚しにくいため、なかなか受診にいたらないことだといいます。

 「どこかにぶつけたとか、山登りをして疲れたなど、外的な要因が思い当たらないのに、関節がこわばっている感じがする。あるいは動かしたときに関節が痛む。手のひらが薄皮を一枚かぶっているような感覚がある。昨日までは痛くて腫れていた場所が気付いたら腫れが引いていて、数日後にまた痛くなる。こうした症状は、関節リウマチの可能性が十分にあるものですが、『気のせい』とやり過ごしてしまう人が多いんです。しかも『なぜか体がだるくて朝動けない』と休んでいると、見た目には症状が分かりにくく、家族や会社など周囲の人からは『サボっている』と判断されがちなため、ますます不調を訴えにくくなってしまいます

 少し無理すれば動ける……と初期症状を見逃しているうちに病状が進行し、関節が破壊されていってしまうと、寛解までの時間は延びる一方です。

 「日本リウマチ友の会による『2015年リウマチ白書』によると、7000人を対象にしたアンケートであなたの職業生活にどんな影響を与えたかという設問に、約50%の人がリウマチのため休職・退職・廃業したと答えています(複数回答)。新薬が登場してから10年以上がたってもこうした状況なのです。また毎日の生活が不便になった人は85%以上、家事ができないという人も50%もいます。1カ月のうち8日間、体調の悪い日があったら、家事・育児・仕事に大きな影響を及ぼしますよね」

 湯川さんは現役世代にこそ、若いからと疲れを放置せず、「この疲れ、本当はリウマチが潜んでいない?」と疑ってほしいといいます。

 「発症から10年以上たっていても、時間をかければ寛解を目指すことはできます。でも、薬を使わずに寛解を維持できる割合を高めるためには、症状が表れてからの期間が短ければ短いほどいいんです。発症後、治療に入るまでの時間が長いと、どうしても長い付き合いになってしまいます」

 初期の症状は非常に分かりにくいものではありますが、1ページ目の「リウマチチェッカー」で一つでも当てはまる項目があり、それが気になるようであれば、「もしかしたら関節リウマチの可能性もあるかな? と疑ってみてほしい」と湯川さん。

 「関節リウマチだからと妊娠・出産をあきらめる必要は全くありませんし、遺伝するものでもありません。ご本人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上のためにも、ぜひ、気になる点があったら専門医を訪れてみてください。なんともなければ、何よりですから」

取材・文/山田真弓(日経DUAL編集部) イメージ写真/PIXTA

湯川宗之助
湯川リウマチ内科クリニック院長/一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会理事長
湯川宗之助 1975年生まれ、東京都出身。2000年東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院第三内科、産業医科大学医学部第一内科学講座を経て、2015年に湯川リウマチ内科クリニックを開院。2016年一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会を設立。リウマチの正しい理解を促す啓蒙活動を精力的に行う。関節リウマチの啓発活動、継続的なその取り組みが評価され、3年連続で『The Japan Times』の「100 Next-Era Leadears in Asia 2017-2018」に選出されている。