「いずれも、甲状腺自己抗体がなぜできるのかは分かりません。ストレスや過労が原因と言われますが、ストレスは誰にでもあり避けて生きられないので、私はそれが原因とは思いません。治療さえ受ければ心配ない病気です」

―― どんな検査で分かりますか。

 「甲状腺の機能と、甲状腺自己抗体の検査をします。血液で調べられます。バセドウ病や橋本病は、特定の自己抗体が高く検出されます」

ストレスや過労が原因と言われるが、はっきりは分からないという。「治療さえ受ければ心配ない病気」と山田先生
ストレスや過労が原因と言われるが、はっきりは分からないという。「治療さえ受ければ心配ない病気」と山田先生

服薬治療、妊娠・授乳も可能

―― 治療はどうしたらいいでしょうか。

 「バセドウ病は、抗甲状腺剤を使います。症状の軽い人、甲状腺腫大が小さい人向けで、1年から数年の服用です。妊娠・授乳中に飲める薬もあり、きちんと管理すれば出産も大丈夫です。薬をやめられる人は多いです。まれに副作用で白血球が減る人がいますので、服薬して約2カ月は2週間ごとに検査します。甲状腺腫が大きく、早く確実に直したい人には、手術の選択肢もあります。放射性ヨウ素のカプセルを1回飲むアイソトープ治療法もあります」

 「橋本病は、診断されても甲状腺ホルモンが正常値内の人が多いです。自覚症状がないので薬は必要ありません。甲状腺が腫れてのどに圧迫感があればホルモン剤を服用して様子を見ます。甲状腺がかなり大きくなると手術が必要な場合もあります。病気が進むと甲状腺の働きが低下し、ホルモンが不足する可能性があるので、数カ月おきに受診を。妊娠を希望する場合は早めに相談してください

 「橋本病で甲状腺機能が低下している患者さんは、甲状腺ホルモンを補充する薬を生涯、毎日飲みます。適量であれば、副作用はなく妊娠・授乳も大丈夫です」