子育てや仕事に忙しいママこそ、自身の健康に気を付けたいもの。ママが気を付けたい病気のうち、今回は女性に多い甲状腺の病気についてです。IT系の会社で働くリエさん(40代後半、仮名)は、30代から甲状腺の治療をしていました。思いがけず高齢出産した後、手術のため入院。家族の協力で乗り切り、仕事を続けています。リエさんの体験を紹介します。

徹夜の仕事もざら、そのころドックで異常

 リエさんは大学卒業後、本の編集の仕事をしていました。やりがいがあるように見えますが、「著者の意向を聞いて、気分よく仕事してもらう」というのが、向いていなかったそうです。

 「やってみたら、本を見ているだけのほうがいいと思いました。当時、仕事でパソコンを触る機会もあって、楽しかったんです。印刷のプログラマーがかっこよく見えて。未経験の職種に移るには25歳までと知り、すぐに転職しました」

 IT系の会社に入社して6年ほど働きました。小さい会社のSEでした。それから今の会社に転職。15年以上、続けています。

 ばりばり働いていた35歳のとき、人間ドックで首のあたりが腫れていると言われました。甲状腺の専門病院を受診し、血液や超音波の検査をしました。

 甲状腺は、のどぼとけの下のあたりに蝶が羽を広げた形をしてあります。小さい腫瘍がたくさん見つかり、右側には2センチの大きな腫瘍があって、細胞を取って調べたところ(細胞診)、良性でした。腫瘍を大きくしない甲状腺のホルモン剤を飲むようになりました。診断は「腺腫様甲状腺腫」でした。

激務も楽しくストレスは感じず「原因は分からない」

 「ストレスが原因と言われる場合もありますが、原因は分からないそうなんです。確かに夜遅くまで働き、終電での帰宅や徹夜もざらでしたが、激務とは思いませんでした。疲れても寝ればよかったし、ストレスもそんなに感じなかったです

 「転職経験があるから、仕事がきつければ他の会社に行けばいいと思っていますし。好き嫌いがはっきりしているので、思ったことも言ってしまいます」

 プロジェクトは期間が決まっていて「あと1年」などと先が見えるので、パズルみたいに完成させていく達成感があります。

 「システムに機能を組み入れるというときも、どこにはめるかによって変わる。データの移行をするなら、古い物から新しい物へ、数個に分けたり、はめ合わせたり。工夫すると、2時間かかったことが15分でできるようになるんですよ」とリエさん。

 自分の時間も楽しんでいました。土日が休みでなくても代休がありました。映画が好きで、年に200本以上は映画館で見たそうです。平日の夜に映画館に行った日もあり、DVDも入れると年300本は見ていました。子どものころから好きな『ロード・オブ・ザ・リング』がお気に入りです。

 夫とは休日が合わず、別行動でも仲良く暮らしていました。「お互いに自分の時間がないとダメだったので」。32歳のときに結婚、籍は入れない事実婚です。それでもマンションを共同で購入し、家族として生活しています。

腺腫様甲状腺腫と診断。激務も楽しくストレスは感じず「原因は分からない」ということ
腺腫様甲状腺腫と診断。激務も楽しくストレスは感じず「原因は分からない」ということ